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360号 区分所有者名簿への誤解

「10数年前までは、区分所有者名簿を作成していたけど、最近の管理組合は、名簿作成を放棄したようだ」。

築40年余の団地の住民の話だ。

マンション標準管理規約64条には、「理事長は組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない」とある。しかし、現実には管理組合は、金縛りにあったように区分所有者名簿を作らなくなった。

理由は、個人情報保護法(平成17年)の施行による。個人情報だから出せない、という風潮が広まった。それには、誤解もある。

「個人情報保護法上で、管理組合が常時5千を超える情報を扱うことは、まずないので法律上の事業者となることはない。しかし、個人情報の取り扱いについては、管理組合や自治会で利用目的を特定して、取り扱いに関するルールなどを定め、十分慎重に取り扱う必要がある」(コンメンタール、マンション標準管理規約)とあるように、取り扱いには慎重さが求められている。しかし、作成が規制されているわけではない。ただし、管理組合法人は、区分所有法48条2項で、作成が義務付けられている。

この原稿を書くために、管理組合に自分のマンションの名簿原本を見せてもらった。変色した用紙の綴じ込みには、本人と家族構成、生年月日、職業、学校名、緊急連絡先などが、自筆で記入してあった。紛れもない個人情報である。標準管理規約も、この原本を閲覧させろとは求めていないだろう。

氏名、住所のデータだけを記載し、転入居のたびに更新する居住者名簿を作成している管理組合はある。この名簿をも拒否する住民がいるが、個人情報は不可侵という概念にとらわれすぎているのでないか。プライバシー保護を理由に、出さないという住民もいるが、居住者名簿は、大災害時には、安否確認に必要になる。

高齢化が著しいマンション、団地では、救護を要する要救助者名簿を別途、作成すべきだ。大災害時には、高齢者、障害者など要救護者の安否確認、救出、保護は最優先される。この名簿は、プライバシーへの配慮から、管理組合の金庫など厳重に保管し、理事長などが管理するようにしたい。

30年以内に70%の確率で、震度7の首都直下型地震が起こるという予測を政府の地震調査委員会が今年3月、発表している。この名簿整備は、緊急を要する。(論説委員会)


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