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論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

283号 信頼できる専門家選び

大規模修繕工事のとき、工事仕様書の作成と工事監理のために建築士等の建築専門家の協力を必要とする場合が多い。この場合の建築専門家は、公的資格を持つ建築士というのが一般的だろうが、このような専門家をどのようにして選ぶか。多くのマンションでは委託費の見積り合わせで選ぶことが多い。

しかし、マンションでの改修工事は、現に多くの老若男女が住んでいる工事現場という特性があるから、これに関わる専門家は、建築知識を有しているだけでは十分でなく、実績や経験が何よりも大切である。

専門家の仕事としては、建物や設備が本来有している物性と実際の劣化調査に基づいた診断結果とを勘案して、管理組合のメンテナンスに関する意向を聴取しながら工事仕様書を作成する「設計業務」と、施工会社の職人が工事仕様書通りの工事をちゃんとやっているかを監視して検査する「工事監理業務」がある。

この両方を一括して行うシステムを「設計監理方式」という。この業務は、全面的に管理組合の立場に立って行うのだから管理組合との信頼関係がなければならない。このような役割を担う専門家を選ぶ場合、公的資格があるのが望ましく、人柄、経験、実績及びマンションのメンテナンスについての心構えやメンテナンスに関する思想等を十分に見て、聞いて判断することが選択の基本であろう。

単なる金銭比較で選ぶことは、「安かろう、悪かろう」の結果に陥りやすい。ある事例だが、平均的な市場価格に照らして極端に安い金額で設計監理業務を受託して、不足分を立場の弱い請負業者と使用材料メーカーに補填を割り当てる診断調査会社がある。このような場合、実は施工業者等よりも管理組合の被害のほうが大きい。

現在のマンションやホテルの偽装問題は、人命に関わる絶対に許せない悪業だが、庶民がつい「安かろう、悪かろう」の手に乗ってしまった不幸な問題でもあろう。自治体の建築審査を信じて買ったという言い分はあるにせよ、本来、マンションを売ったマンション販売会社が全責任を負うべき問題である。公的資金の投入をという向きがあるが、公的資金は税金である。

戸建て住宅での似たような事件で、公的資金が投入されたという話を聞いたことがない。今回のマンション偽装問題は、販売会社の買取りや損害賠償がなければ、最終的には自己責任で決着を付けざるを得ないのではないだろうか。 (論説委員会)


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