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284号 耐震強度偽装事件 国交省「緊急調査委」報告書を読む

安全性の不確保

国交省の構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会は、4月に報告書を出した。NPO日住協会長で、全国マンション管理組合連合会会長でもある穐山精吾氏も委員の一人として意見を述べた。
およそ40ページからなる報告書によると、「特定の人物による特異な事件という当初の認識から、大規模で根深い構造が存在するという認識への転換」が必要だと言う。実に恐ろしいことである。
また、「一生に一度の高価な買い物であるマンションの安全性が確保されていないという大きな衝撃」があったと述べ、「国民の建築確認制度や建築生産システムに対する不安感・不信感の増大」が広がっていると指摘。安全性に対する崇高な理念やシステムを持ち得なくても、マンションは誰にでも建てられる。しかも偽装の渦中の人々の、自分たちも被害者であるかのような振る舞いには呆れる。

技術力の低下

「なぜ偽装が起こったのか」では、「建築技術の高度化に伴う建築士の専門分化。構造設計者の下請化による労働過重と地位の低下」にあるとし、「なぜ見過ごされたのか」では、「建築技術の高度化・専門化、確認申請件数の増加等による、建築主事の技術的能力、処理能力の低下。民間確認機関の市場競争による審査の形骸化」など、やはり安全性が疎かにされていることを指摘している。

造り手の顔が見えない

「偽装問題の背景」では、「建築社会におけるスクラップ・アンド・ビルド型の共通認識」や「マンションなどの分譲住宅の建設において建築士の立場が変化し、建築物を利用する居住者と建築士の距離が拡大」していると指摘。つまり、構造設計者はもちろん、その他の建築関係者の顔が一切見えず、それは、ディベロッパーが一元管理を装って、居住者(管理組合も)に対して、建築関係者とのやりとりができないようにしているにほかならない。

偽装事件だけではない

マンションの瑕疵等の問題は、実は偽装だけではない。手抜き工事や八王子のマンションのように監理不在の手抜かり工事も多く存在するのではないかと危惧する。それらが明らかになると「マンションの価値が低下する」と、誰かに示唆され黙っていたり、ディベロッパーの言いなりになっていると、解決の道はさらに遠のく。

(論説委員会)


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