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297号 マンションの耐震改修促進について

もう一昨年のことになるが、世間を震撼とさせた耐震偽装問題は事件の本質や責任はどこにあったのか不明のまま忘れ去られようとしている。
この事件を契機にして、自分の住むマンションの耐震性に疑問を持ったところは多いが、マンションの耐震診断を実際に行ったところは少ない。

それはなぜなのか、国は「建築物の耐震改修の促進に関する法律」を平成7年に制定しているが、この法律が平成18年に改正され、これを受けて地方自治体は耐震改修促進計画を作成し、その計画の中に耐震診断・耐震改修促進を施策化し、耐震診断を助成金付きで奨励している多くの自治体がある。

ところが、耐震診断を受ける管理組合が少ないのはなぜか、昭和57年(1981年)以前建築のマンションは新耐震基準に合わないのは自明であり、問題は診断後の明確になった耐震性不足にどう対処するかということになるが、耐震不足で居住者の不安を駆り立てるが、管理組合は膨大な資金を必要とする耐震補強工事には対応できないとなると、いたずらに居住者の不安をあおるようなことはできないという結論となり、選択肢は耐震診断は受けないということになる。

管理組合としては、少しでも居住者の不安を除くため長期修繕計画で積み立てた資金を活用して、計画修繕実施時に防災・避難を考慮するとしても限られた資金であり完全な対応はできない。築後30年以上にもなると居住者の高齢化と建物・設備の老朽化に対応しなければならないが、それに加えて耐震改修となると居住者への経済的負担は増大し合意形成は非常に難しくなる。 そこで、一部の地方自治体では耐震改修に対して利子補給や助成金を出すところもあるようだが、ここは国が戸建て住宅やマンションの耐震改修に助成制度を構築してはどうかと提案したい。

これまで大地震で被害を受けると、その地域を激甚災害として指定し復旧費用として膨大な国家予算をつぎ込んでいるが、むしろ事前に耐震改修を奨励して防災を強化する方が遙かに少ない国家予算で賄えるうえ効果があると思えるのだが。

(論説委員会)


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