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303号 安全・安心は本当に守れるのか?

既に2年前の事件とはいえ、まだ記憶に残るあの耐震偽装事件のことだが、その後建築基準法が改正され、本年6月20日には改正法施行により建築確認審査がより厳しく審査されることとなった。また特定建物の瑕疵担保の責任の確保に関する法律が制定され保険等に関しては2年程度後の実施が見込まれている。

これらにより消費者の住宅を購入する際の安全・安心が同時に保証されることとなるので一安心と思っていたところだが、いまだに偽装事件が発見されており、さらに今度は大手ゼネコンの施工する超高層マンションで鉄筋数の不足や基準外鉄筋の使用などが報道され本当に安全・安心が確保できるのか疑わしくなってきている。

また、一方では改正建築基準法の6月20日施行以降建築確認の審査期間が大幅に延長され、かつ特定の高さ以上のマンション等の建物については特定構造計算適合性判定が必要となったことから、建築確認の認証が相当程度遅れることにより本年7月~9月までの住宅着工数が対前年比で4割程度以上減少しており本年度の建設業界に及ぼす影響はマイナス2兆円程度になると騒がしく喧伝されている。

これについては、国土交通省の改正法施行までの手順に問題があったのであり、法律そのものには問題は無いのであるから方向性は間違っていない。また、首都圏ではバブルの再来といわれるほど不動産が高騰しており、一部にはマンションなどの売り惜しみを図って販売価格を吊り上げようとしているとの情報が流れたりしており、再度のバブルは許せないと思っていたところアメリカでサブプライム・ローンの焦げ付きによる信用不安が全世界に波及するなどで金融業界・建設業界が沈静化してきており、むしろ改正法施行等が持続可能な経済成長にソフトランディングさせているのではないか。

いずれにしろ、建築基準法の改正が経済成長に悪影響を及ぼしているなどという考えではなく、これまでに見捨てられてきた住宅の保証・保障・補償と安全・安心が確保されることは消費者保護に繋がることであり、住宅に関する信用確保・向上は将来に新たな需要を起こすであろうことを見据えてのことであると願っている。

(論説委員会)


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