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304号 管理会社による管理者代行のマンション管理は実現するか

今年の春、国交省大臣が、マンション管理の管理会社による「管理者代行制度」なる構想を発表している。その後、国交省において検討委員会を設置して検討を開始しているとも聞く。管理会社による管理者代行制度が始まれば、この方式がマンション管理の主流になるだろう。そこで、区分所有者の立場から新しい制度に対する不安な点を指摘し、それに対する対策を考えてみたい。

マンション管理は、維持管理と保全管理に大きく分類される。維持管理は、日常の維持管理であって、建物の補修管理、設備等の機能(運転)管理及び清掃衛生管理に窓口管理及び会計管理が含まれる。保全管理は、建物の経年による性能の劣化を防ぐための管理であって、長期修繕計画に基づく管理である。保全管理は、現に居住者が住むマンションの管理の本道であるといえる。維持管理は、管理会社に任せておいてもよいが、保全管理は、所有者意識を反映した資産管理ということができるだろう。

都や県の住宅供給公社の割賦分譲の団地の中に、割賦終了までの20数年間、住宅の所有権移転がないため管理組合が設立されず、公社が住宅所有者として管理をしていた。その結果、劣化が甚だしく進んでしまい、割賦終了後の管理組合設立早々、広範囲の多額な費用を要する大規模修繕工事を迫られたという事例が少なくない。このことは、公共建物の管理のような維持管理を、長年続けてきた「ツケ」といえる。分譲マンションや団地の管理は単なる維持管理ではない。大切な財産の価値をできるだけ長く維持しようとする管理である。予防管理が管理の原則である。技術的経済的合理性にもとづいて長期修繕計画を作成し、これに基づいて予め修繕積立金を積立て、その積立金で適正な時期に適正な修繕を施す。管理会社による管理者代行による管理では、こうした住宅所有者特有の視点が軽視されるように思えてならない。劣化が進んだからといって、工事受注誘導型のコンサルによって不用不急の大規模修繕工事の実施を誘導されるようなことになりかねない。

これまで大手管理会社の多くは、管理受託管理組合の大規模修繕工事を、随意契約に近い形で請負うことを企業目的にして、マンションを食い物にしてきた実績があるから不安なのだ。

マンションの管理担当者に工事受注の営業ノルマを課している会社のあることを耳にする。管理者代行制度に限らず、第三者が「管理者」代行をする場合は、外部監査制度の設置や評議委員会等の総会の開催権限を有するような監視機関の設置が欠かせないだろう。

(論説委員会)


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