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319号 災害への備えは万全か

ここ一年、築後20数年を経た団地での火災などの災害が相次いでいる。不幸なことにそれらのほとんどが火災保険に加入していなかった。どうしても高経年のマンションや団地では、火災事故だけでなく、設備の劣化に起因する漏水事故のような災難も起こりやすくなる。災害が起きれば、復旧費の調達問題が発生する。現に生活をしている住宅だから、可能な限り迅速に復旧しなければならない。復旧資金をスムーズに拠出してもらうことが絶対条件である。資金拠出を出し渋る人が出てくれば、復旧工事に支障をきたす。

区分所有建物は「専有部分」と専有部分以外の「共用部分」に分けられるが、火災の際の建物復旧は、専有部分は区分所有者の責任と負担で行い、共用部分は建物の区分所有者全員の責任と負担で行わなければならない。区分所有者全員が持分に応じた復旧資金の拠出が必要になる。団地の場合、建物の共用部分の復旧は被災棟の区分所有者全員の資金拠出が必要になる。マンションは生活の場だから急いで復旧しなければならない。団地修繕積立金があるからといってこれを復旧資金に当てればよいと考える向きがあるが、原則としてこの積立金は使用できない。緊急処置として、一時的に資金の流用をしたとしても、その分は、可及的速やかに団地修繕積立金会計へ戻さなければ、団地の計画修繕の支障をきたすことになる。区分所有法は、「共用部分について損害保険を契約することは共用部分の管理とみなす」と規定して、復旧資金の調達の方法を示している。

共同住宅は、住人それぞれが安心安全な生活のしかたに十分注意するのは当然として、災害の完全な備えがなくてはならない。そこで、災害時の建物の共用部分の速やかな復旧のために管理組合が一括して火災保険を付保することができるが、専有部分は個人の責任と負担で備えをすることが原則である。マンション分譲当時のように、区分所有者全員で合意して管理組合が一括して個人賠償責任保険を付保するのであれば保険料を管理費会計から支出することは可能かもしれないが、全員合意が不可能な場合は、管理組合が主導して区分所有者及び居住者のセキュリティ意識を涵養し、一方で全区分所有者の付保状況を調査して過剰な付保や多重付保にならないように注意して、保険に入っていない人に対してはマンション保険を、団地の場合は団地保険への加入を呼びかけることが効果的であろう。以上のことを行うのは、区分所有建物においては必要条件かつ絶対条件である。

保険は、契約商品であるから、契約のとき保険会社のいうなりにする必要はない。マンションの構造は様々であるからその特性をよく知ることが大切で、できるだけ合理的な契約に結びつける努力が必要である。
マンション建物のうち共用部を60%と専有部分40%の割合が合理的かどうか。再建築価格は新価で算出するか、特別割合条件を付すか、「総合保険」か又はマンションには無用と思える保険対象項目を外した「住宅火災保険」を選ぶか。積立保険か掛け捨て型のいずれが得か、長期契約して保険料を若干でも安くするかなどを、ひとつ一つ検討してみる必要はある。

以上のことは年間保険料や災害時に実際に支払われる保険金に大きな差が発生する条件である。

(論説委員会)


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