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372号 新たな管理ルールが本当に求められているのか

「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(福井秀夫座長)は、2012年1月から8月まで、9回の会議を開いたが、その後正式の会合が開かれず、審議が中断したままである。中断の理由は公表されていない。

この「検討会」の主題は、居住者の高齢化などで運営が困難になった管理組合の運営に専門家を参加させる管理方式の検討ということであった。審議の内容はどのようなものであったか。概括すると、専門家なるものを入れるということを前提にして、その方式をどうするかの「形式」に重点をおいた審議ばかりで、現在の管理組合や理事会の実態や、どうすることが区分所有者の意見や利益を反映するかという実態的な話はほとんどなかった。

とくに問題なのは、検討会での委員の姿勢である。困難になった管理組合と専門家の関係を、成年被後見人と後見人との関係になぞらえ、管理組合をあたかも判断力を失った人たちの集団であるかのようにみなしている。実態を知る管理組合や省庁の関係者から異論が出されても、まともに取り上げない。マンションの主権者である区分所有者の意向は考慮する必要がなく、制度、政策で誘導すればよいのだと説く経済学者の委員さえいる。

「検討会」は、新たな管理ルール設定の前提に、管理組合の主要目的を株式会社のようなものだと規定する。株主は会社の現場とは関係なく結果としての利益を目的とし、区分所有者はマンションがまさに生活の現場であり、快適な生活のために建物の維持管理を目的としており、まったく違う。いま管理組合が求めているのは、数十年にわたってつくられてきた理事会・理事長方式の管理のもとに、専門家の適切な協力の道を充実させることである。現場の管理組合から求められてもいない「新たな管理ルール」なるものの検討は、このまま中止してもらった方が、かえって区分所有者のためになるといえよう。

(論説委員会)


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