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論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

378号 工事の水準を安定させるために

職人賃金の現実

建物等の工事には職人が要る。ところが近年減少傾向にある。「きつい」「汚い」「危険」の3Kは敬遠されている。加えて彼らの賃金の低い。

2012年の男性の賃金総支給額の全産業平均は529万円。建設業界では391万円と全産業の4分の3程度と、経済的に魅力がなく働く意欲を持てない。これが職人数激減の主因である。しかも、社会保険に未加入業者も多い。それらは、業者自体の収入が低いことに起因する。

収支のズレに不安感

ある改修業者は配下の業者を大事にし、毎月支払うことで工事水準を安定させている。それによってお客様である管理組合に迷惑をかけないようにし、元請けとしての信用を維持している。しかし、管理組合からの支払いは工事終了後が多く、収支のタイミングに大きなズレがあり、やりくりが大変だという。当然、金融機関から運転資金を借りる。ところが、管理組合からのヒアリング時に、借入金額が多いのではないか。経営に不安があるのではないか。という質問が多いという。

建物等の維持・保全のために

賃金を上げるには、発注元の管理組合は「見積りを叩きすぎない」。「安ければよい」と叩くと、業者は仕事を取るために職人への支払いを減らす。手抜き工事も生まれかねない。一部を完工後1年後の支払い契約を求める管理組合もあるようだ。元請業者は、下請け業者に対しては早く支払いたいので、やはり銀行から借入れて賄う。経営を苦しめることになる。1年後の支払いは、瑕疵等が発生した時の担保という性格である。しかし、瑕疵等が発生した時に施工会社が対応しなければ、その会社は社会からスポイルされる。

職人の育成も大切

国や地方自治体の事業を民間企業などに委託する際に結ぶ公契約では最低賃金などを定めており、その考え方の導入も必要かもしれない。

工事開始後から完了までに4分割して支払っている管理組合もあるが、とても少ない。

職人の賃金を平均賃金に戻し、彼らには技量向上に励んでもらい、建物等の維持・保全に努めてほしい。管理組合として、職人等の育成に関心を持つことも大切である。


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