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336号 修繕積立金の適正額とは

今年2月の国会における国土交通委員会で、マンションの分譲時における修繕積立金の設定額について質問があった。分譲業者が売らんかな姿勢で修繕積立金の初期設定額を低くしていたため、築後3年のマンションの管理組合が一級建築士に見直してもらったところ、30年の長期修繕計画で5億5千万円が9億円になったということである。

最近では、修繕積立基金が普及しており、ある程度の積立額にはなるが、最初の12年から15年のサイクルで行う修繕工事は、補修を中心とする程度で平均的な所要額は戸当り70万円から80万円程度要するが、この修繕に必要な額が不足する管理組合は臨時徴収や借入で賄うケースが多く、区分所有者は臨時徴収などの多大な負担に愕然とするのである。
前々から修繕積立金の販売時の低額設定は指摘していたところだが、今回国会で問題になりようやく低額設定の悪弊を排除し、適正なモデル額設定による修繕積立金の正常化を促すため国も動き出したようである。

さて、修繕積立金は計画により積み立てていくが、修繕工事を重ねるごとに或いは築年が経過するごとに修繕必要額は膨らみ、戸当たりの積立金月額は逓増することになる。しかし、これは必要額に対応して積立額を計算しており、理にかなった方法として大多数がこの方式である。しかしながらこの場合高経年のマンションでは高齢居住者が増加し、積立金の増額には経済的に負担が厳しくなり、滞納につながりかねないといった不安要素がある。

これに対するものとして初期設定時に数十年の計画を作成し、これに見合う積立金を算出して、さらに平準化して月額を設定し、当初から同額で積み立てるという方法が考えられる。この場合、最初の修繕や二度目の修繕が終了した段階でも多額の積立金がプールされており将来に対する安心感があるが、一方、資金管理や無駄遣い防止などに神経をすり減らすかもしれなし、最初に設定する額が高めになることが区分所有者に受け入れられるかなどの問題がある。
分譲マンションの歴史は50年程度で、計画修繕の必要性をいわれた歴史はさらに浅い、この修繕積立金の適正な積立額や積み立て方式をどのようにすれば区分所有者に納得してもらえるのか、管理組合の判断も悩ましいものであり、管理組合の経営にとっても重要な問題である。

(論説委員会)


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