NPO日住協|特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会 > 340号 超高層マンションはどこまで増えるか

論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

340号 超高層マンションはどこまで増えるか

20階以上を超高層マンションと分類するが、一般の高層住宅と異なる点は、剛構造で無く柔構造で出来ていることや、建物の界壁がコンクリートでなく、発泡コンクリート版などの軽量な材料で構成されていることなどがある。この超高層住宅が全国に普及し始めているが、東京では過疎の町村を除けば建っていない自治体を探す方が難しい。神奈川県に猛烈な勢いで広がっている。相模原市の橋本駅周辺は、超高層が束になって建っている。こんな場所に建てていいのかなと疑問だが、デベロッパー自身は売ってしまえば良い訳で、後のことは心配しない。そこで、東京で超高層が、増える理由を探ってみた。バブル崩壊で都心の土地が大幅に値下がりしたことが原因だか、容積率緩和も超高層建設を後押している。何しろ総合設計は錬金術のようなもので400%の容積率を950%にまで上げる位朝飯前だ。近年では御茶ノ水駅近くに1700%の住宅と非住宅複合の建物が計画されているが、敷地いっぱい建てても17階に達する勘定だ。デパートなら8~10階位が限度だが、オフィスやホテル、住宅なら高さは無制限だ。ところが現在都内のオフィスの空室率は9%である。空室解消の見込みは少ない。開発者から見ればオフィス建設より住宅供給の方がリスクは少ない。それならなぜ超高層マンションが売れるか疑問になる。金持ちクラブ入りか、それとも猥雑な環境から抜け出した爽快感か、スケールメリットがつくるホテル感覚かと色々想像するが、50階建てが登場した昨今では、20階程度では希少価値はない。50階建ての2階に住むことも自分には理解できない。5-10年後にはマンション購入層の6割を占める30歳代が激減するが、それでも超高層は売れるのか。平成20年時点の住宅統計調査結果では千代田区、中央区の戸建を除く集合住宅の空き家率は29%に達している。供給過剰か投資の結果か、単に低水準不良住宅の蓄積か否か不明だが、不気味な数値である。
ところでいくら容積緩和しても土地提供者が居なければ超高層は建たない。そこで超高層住宅の元の敷地所有者を調べると、工場、倉庫、資材置き場など企業が保有していた土地が半数を占める。橋本駅周辺の超高層群の敷地は大企業の工場の跡地と、鉄道の操車場跡地である。埼玉県の川口市の超高層群も鋳物工場の跡地が多い。江東区に建つ超高層群も鉄工所などの跡地が多い。バブル崩壊以降日本の経済は長く低迷し、近年の東京都特別区は従業者が減っている。全国的にも人口減少の前に生産年齢人口の減少が先行しており、特にものづくり分野ではその傾向が激しい。国内移転なら、産業の配置転換に過ぎないが、生産拠点の海外移転も多いから、国内では仕事がなくなっている工場が多い。すると超高層住宅の大量建設ブームは産業の空洞化のなせる技と言うことになる。容積率緩和で経済の活性化を提言する経済学者が居るが、見当違いの恐れがあろう。地方都市では超高層分譲マンションによる駅前再開発事業が多いが、空洞化の流れに飲み込まれたら不良化する。超高層の成立になにか危うさを感じるが、単なる杞憂で終わることを願いたい。


関連記事