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387号 改正建て替え円滑化法、どう使われるか

30年以内に7割の確率で予測される首都直下大地震。106万戸あるとされる旧耐震マンションが倒壊すれば、都市部に甚大な被害が発生する。そうした耐震性不足のマンションの建て替えを促すのが目的の改正マンション建替え促進法が12月24日に施行される。これまでの建て替え円滑化法と違うのは、敷地売却制度を導入したことで、耐震性に劣るマンションを特定行政認定、5分の4の多数で敷地売却が決議できる。一定の手続きを経て、敷地売却組合を設立、敷地と建物の権利を集約、それを買受人(デベロッパー)に売却する。区分所有者は、分配金を取得、借家人へは補償金を支払い、借家権を消滅させる。一方、建て替えの場合は、5分の4の決議だが、容積率の割り増し特例が認められる。

この制度が使われるのは、地価が高く、流通性のある東京都心に集中するマンションでは、とある開発業者は予測する。事実、全国のマンション建て替えは、これまで183件の事例があるが、そのうち東京都内が117件と半数以上を占める。旧耐震マンションも都内に36万戸もある。マンション建て替えは、東京問題でもある。今回の改正法も東京をターゲットにしたといっていいかもしれない。

東京、とくに都心地区では、老朽化した旧耐震マンションが多く、そのほとんどは既存不適格。建て替えても現状より高さも、大きさも小規模にならざるを得ない。しかも、日影規制の網がかかる。今回、国交省は当然だが、自治体の建築規制の緩和には、一切手をつけなかった。

開発業者は、そうした実情を見越して、早くも、建て替えでも敷地売却でも応じますよ、と二正面作戦をとる。時間がかかる建て替えより、敷地を売却する方が先行すると大胆に予測する不動産業者もある。今回の改正で、実は、旧法にあった危険、有害マンションの建て替えを行政庁が、管理組合に勧告できるという規定が削除された。築30年のマンションは現在130万戸、10年後には180万戸に増えると予測されるが高経年マンションの中で、管理の行き届かないマンションも、出てくる可能性が高い。有害、危険マンションの出現は、これからが予測される。旧耐震対策は欠かせないが、高経年マンションへの対応も急ぐべきで、もうひとつの法改正を求めたい。


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