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391号 再論「理事は総会で議案に反対できるか」

昨年6月の本欄「論談」で標題の内容を論じた。この問題は、管理組合が実際によく直面することだ。しかし解説書などで明確に説明している例も少ないので、私たちの見解を端的に示したものである。

内容に大方の賛同をいただいたが、一つだけマンション問題評論家を名乗る人が、学術誌のコラムで、当方の見解を正反対に曲げて伝えたうえで、この見解にたいする見当違いの非難を加えている記事があった。そこで、再度この問題を取り上げておきたい。

理事は総会で選出されるから、選出時からたとえば「建替え派」と「再生派」というように基本的に違った立場の人が同じ理事会メンバーに選ばれることがある。その場合、総会提出議案は多数決で決めざるをえない。そのとき、区分所有者の意向が、過半数あるいは4分の3の可決に足りるか足りないか微妙であったとすると、理事会の少数派が反対票を投ずることができないとすれば、実際の区分所有者の意思と異なった結果が生ずる可能性がある。反対意見の理事からいえば区分所有者としての権利が奪われることになり、不合理である。したがって「理事が総会で反対できる」とするのが正しいのは明らかである。また、仮に「反対できない」のであれば、議決権の過半数をもつ区分所有者を理事にして理事会決定で縛れば、その区分所有者を抑える妙案だとなるが、そんなことは区分所有法上もできないことは自明である。

議案はあくまでも「案」であって、可決されるまでは区分所有者の自由な討議と態度表明ができるはずである。そもそも理事会は「案」を最高意思決定機関である総会に提出して区分所有者の判断をもとめるのであって、理事会案を押し付けるものではない。もちろん、総会で決定した後は、反対した理事もふくめて全員が決定を実行する義務が生ずるのは当然である。昨年6月の「論談」も締めくくりのところで、そのことを明言している。

ところが、コラムの筆者は、「論談」の要約から「決まったら実行する」の部分を敢えて欠落させている。なぜかといえば、コラム筆者は、最初から延々と、修繕工事の業者にたいして扉を抑えて部屋に入れない非常識な理事の話を書き連ね、あたかも「論談」がそうした非常識を容認しているかのような印象を与えようとしている。そのため「論談」の論旨が、その非常識な理事とは全く逆のものであることを要約に入れれば、コラム筆者が非難する根拠がなくなってしまうからである。

コラム筆者の、相手の論文の内容をゆがめて中傷や非難をする非常識さには驚くしかないが、見逃せないので再論した。なお、詳細な反論・説明の全文はNPO日住協のホームページにアップしてあるので、見ていただけると幸いである。


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