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「外部専門家の活用」は空論ではないか ~国交省「検討会」の報告書が出されたが~

二年半にわたる異例の休会をつづけていた「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」が、この二月と三月に会議を開き報告書案を確認、これにもとづいて標準管理規約の改正案とパブリックコメントが出される(た)。論点は十四項目に及ぶが、ここでは、当初からの主題である専門家の活用という点にしぼってみてみたい。

今回の検討会と報告書の最大の問題は、この数十年にわたって区分所有者が確立してきた理事会・理事長方式に変更を加えようとすることである。管理組合が理事会をつくってマンションの運営・管理をおこなうこの理事長・理事会方式は、区分所有者の意思を反映した民主的運営として定着してきた。その実態やそれに基づいてどう改善するかという検討はほとんどされていない。検討会は、これまでマンションの管理運営にはほとんどかかわってこなかったメンバーで占められ、「資産価値の維持向上や最大化」という営利企業の運営を想起させるような理念をかかげて、検討内容をリードしてきたのである。

今回提起されているのは標準管理規約の改正である。しかし、そもそも標準管理規約の性格・役割は、マンション管理組合が規約を作成したり、改正したりするときの「参考」にすぎない。したがって、改正案も参考であり、それを使ってマンション管理組合にたいして「“標準”のように改めるべきだ」とか、「外部専門家の活用をせよ」などと指導するようなものではなく、管理組合が自主的に判断するという性格のものである。

そうした基本的位置づけのうえではあるが、それにしても今回の「外部専門家活用」の提案は問題点が多い。「外部専門家活用」について報告書では三つのパターンを用意している。一つは外部の専門家に理事(理事長)や監事に就任してもらう方式、二つ目は外部の専門家が「管理者」になるが、理事会は監視・監督役で存続する方式、そして三つ目は理事会を廃止して「管理者」を置き、「総会が管理者を監督する」形式である。

このなかで、とくに問題なのが理事会を廃止する三つ目のパターンである。これは従来の考え方と一八〇度異なる管理思想を導入しようというものである。報告書は従来の「第三者管理」という言い方を改め、「外部管理者総会監督型」と名付けているが、通常一年に一回しかない総会が、外部の専門家を監督できるなどは空論である。マンションの所有者=主権者である区分所有者の意思を集約し、代表している理事会こそ、管理組合運営の方向をしめし、管理会社や外部専門家に委託した業務を監視・監督できるのは自明である。理事会を廃止するこの考え方は受け入れがたい。そのうえ、報告書は専門家として数多くの専門職を例示しているが、どれ一つとして管理者の条件に合致しているとはいいがたく、これも空論である。

したがって、われわれはこうした専門家活用の方式を「標準」の一つとしようとする標準管理規約の改正につよく反対するものである。(日住協論説委員会)


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