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論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

399号 マンション瑕疵

マンション傾斜と業界等の非常識

購入者をないがしろにしたマンション建設

9月号本欄で、「住宅に安心して住みたい」それには「企業と職業の倫理」が重要であるとの見解を示した途端、横浜のマンションの傾きが発覚した。西棟南側にある8本の杭のうち6本が強固な地盤である支持層に届かず、2本が支持層への食い込みが浅いのが原因とされる。そして、杭打ちデータ改ざん等が明らかになった。改ざんは当初の一社にとどまらず、広く全国のマンションに拡がっていることも判明している。
「杭打ちの際のデータは時に出ないことがある」と、業界団体のトップが語る。その場合、「データのコピー(他のデータを改ざん)はあり得る」とも。

改ざんは日常茶飯事

元請けが、改ざんを示唆することもあるという。業界団体トップ氏は、「うちだけではないでしょ」と居直り、その後、謝罪している。ウソの記録は相当あると言える。
杭打ちは、太い木の根のように建物を強固に支えるのが目的だ。間違っても支持層に届いていないとか、固定のためのセメント量が少なく固定が不十分であるといったことは許されない。見えない所だからこそ信頼に応えなくてはならない。
「杭打ちのデータが出ない時もある」「出ても記録ができなかった」とも言っている。なぜ、それを直そうという発想がないのか。

品質確保と記録の重要性

品質確保と仕様に関する記録は、最低20年以上の保存が必要だ。大手ゼネコンによると、設計関係の書類は10年程度で破棄するという。置き場所がないという理由であるが、デジタル化すればよいのである。施工と記録は一体化している。経年劣化か瑕疵かを判断するときに、記録はエビデンスとなる。それが最初からウソでは始まらない。

行政・業界・技術者の倫理

「技術者の持つべき能力としての技術者倫理」が欠かせず、心に倫理の杭を深く打ち込むための倫理教育システムの実現は、業界で取組むべき喫緊の課題である。
関係企業は互いの誹謗をやめ、顧客目線に立った解決を図るべきだ。購入者のために安全な建物を、建てなければならない。国、自治体は厳しく反省し、建設関連団体と企業は、品質とは何かを本腰を入れて考え抜いてほしい。都合の良い論理を振りかざすことは許されない。業界の常識が、社会の常識とズレがあることを肝に銘じなくてはいけない、掘削調査、杭打ちをはじめ、すべての工事が目的化している。現場の経験に頼り過ぎる慣習を改めるべきだ。
管理組合は交渉の窓口である。組合員の様々な意見を集約するのは時間がかかるだろうが、議論を重ね知恵を出し合い着地点を見出してほしい。我々も応援をしている。

(NPO日住協論説委員会)


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