論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

426号 最高裁の判断を検証する!憲法第29条「財産権」と法律「区分所有法」との立場から

トイレや浴室を修繕積立金で賄う!?

ある管理組合は2012年に管理規約に「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分および共用部分の管理上影響を及ぼす部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」との条項を新設。これを修繕積立金の使途に加える改正も同時に行った。管理組合はその後、専有部分を含めた給排水管・ガス管の更新に加え、トイレの交換、浴槽のユニットバス化、それに伴う給湯機の設置、洗濯パンを新設するなどの工事を決議した。

利害の衡平と特別の影響

自費で専有部分の工事を終えていた区分所有者の一部は同年、総会決議の無効を求めて提訴。裁判では、規約改正や工事の実施が区分所有法30条3項の「区分所有者間の利害の衡平」及び、同法31条の「特別の影響」に当たるかが主な争点となった。2017年3月15日の東京高裁判決は一審判決を支持し、「管理の方法として給排水管等と浴室設備等およびその付属設備とを一括して更新することには必要性および合理性があるというべきである」と、原告側の請求を棄却した。最高裁は2017年9月14日付けで上告不受理を決定し、区分所有者の請求を棄却した東京高裁判決が確定した。

規約で財産権の侵害はできない

本件を検証したい。管理組合が一体管理の考え方で給排水管等を更新するのはよいが、そもそも浴室、トイレなどはそれぞれの区分所有者の財産であって、共用部分ではなく、管理組合の管理の対象ではない。外部の管などとつながっているから修繕の対象だという理屈を言うのであれば、キッチン設備から電化製品まで全部修繕積立金が使えることになってしまう。規約といえどもその財産を奪ったり、本人の望まぬ財産を押しつけることはできない。憲法第29条は財産権を保障し、公共上の必要性がなくては、それを奪ったり、制限したりすることができないとしている。憲法に反する規約は無効である。最高裁が、このように重要な憲法問題をふくんだ事件を上告不受理にしたことは、きわめて遺憾としか言いようがない。
 今回の高裁判決によって、本件のような大盤振る舞いができると思ってしまう管理組合が増えるかもしれない。しかし、本件の規約は、憲法にも区分所有法にも反し、財産権や人権などを侵すとともに、圧倒的多数の管理組合が現におこなっている実態にも反したものだということをよくえる必要があるだろう。

(NPO日住協論説委員会)

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