論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

431号 マンションの鍵預かりを考える

マンションの鍵預かりを考える

うっかりして鍵を落とした、忘れたといった鍵をめぐるトラブルが増えている。

超高齢化、認知症高齢者の増加が進む築30年後半、40年以上のマンションでその傾向が顕著だ。
築50年の千葉市の稲毛海岸3丁目団地では、3年前、鍵預かり制度を始めた。認知症高齢者の鍵の紛失などが増え,70歳以上の高齢者を対象に、申請書と引き換えに鍵を預かる。さらに、空き家所有者からも鍵預かりを広げ、合わせて80戸から預かる。管理組合の金庫に厳重に保管する。高齢者からは無料、空き家所有者からは点検費用として3カ月ごとに1500円とこちらは有料。団地の全戸数768戸だから約10%の利用率と小さくはない。

鍵預かりで、部屋に立ち入られる不安が懸念されるが、住民と管理組合との信頼感がしっかりしているから、トラブルゼロ、という。

横浜市都筑区の民間マンション(426戸)は、全戸のカギを管理会社が預かる。こちらは7,8年前からだ。3・11の東日本大震災の経験から、いざというときに管理会社がカギを預かっていれば、部屋に閉じ込められた住民も救出できる。このケースは、管理組合と管理会社の信頼感が無くては実現ができない。このマンションは3・11では大きな被害はなかったが、管理会社に防災対策の整備を要求、管理組合自身もフロアごとにフロアリーダーを決め、防災会議を開くなど防災に強いマンションを目指している。その一環としていざというときを考慮,管理組合がカギ預かり制度を決断した。3年に一度、昼間の連絡先、血液型の登録を更新する。住民が若いせいか、制度発足以来、預かった鍵の利用の事例は発生していない。

鍵預かりについて大手の管理会社に聞くと,管理員の人出不足から広げるのは難しい、と口をそろえる。実際に引き受けている一部の管理会社は、管理組合と契約を交わして引き受けるが、実際は警備会社に委託しているのが実情、という。

高齢者の多いマンションでは、気心の知れた友人同士で、緊急の時を考え、カギを預け合うことは習慣化しているというが、鍵預かりの成否のカギは、どうやら住民同士、管理組合と住民の信頼関係に尽きるようだ。

(NPO日住協論説委員会)

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