論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

433号 アスベスト含有の外壁改修、情報不足にさらされる住民

昨年7月、環境省、厚生労働省が、マンション外壁などを改修する大規模修繕工事などついて、厳格なアスベスト飛散防止策を全国の自治体に出した。県、市なども今年2月ごろから工事業者、設計事務所などを対象とした説明会を繰り返し開催している。

大規模修繕工事を計画、外壁改修を実施する管理組合にとっては、なぜ今年から急にという思いが募る。施工業者も初体験だから、従業員を労働基準局の開催するアスベスト対応方法の研修会に派遣、一定の資格を取得させるなど、大わらわだ。

横浜市のA団地では、竣工後3回目の改修予定の外壁、階段室の天井(上裏)から採取した検体を検査機関に分析を依頼した。結果、7棟のうち2棟の外壁の仕上げ塗材、下地調整剤から0.1%から0.5%のアスベストが検出された。また、階段の上裏からは、7棟全部からアスベストが検出された。
管理組合は、この結果を受け止め、工程を一部変更するが、逃げずにきちんと対応する方針を決めた。アスベストの処理費用は全体で850万円と見積もられた。想定外の費用だが、予備費などで対応する、予定という。工期も1カ月延長になる。一方、横浜市では、調査費用等の補助金の制度を新設したが、マンションについては対象外という。

住民にとっては、工事に伴い、外壁や上裏に含まれる微量のアスベストが飛散するのが、一番の懸念だ。住みながらの工事だけに、不安が募る。

アスベストは、公共施設、住宅,マンションなど建築物に断熱材、吹き付け材、保温材として使用されてきた。しかし、その健康被害から1970年代から製造、使用が段階的に規制され始め、12年前の2006年には重量比で0.1%を超えて含まれるすべての製品の製造、使用が禁止された。しかし、それ以前に使用された塗材や下地調整材などには、含まれているため、外壁の塗り替えに伴い、足場仮設の設置で、外壁に足場つなぎ穴をあける際などに、アスベストの飛散が懸念される。

一連のアスベスト規制を国、自治体が打ち出したのは、評価されるが、管理組合、住民を対象とした説明の機会を設けないのはなぜなのか。にわか勉強の工事業者の説明に、任されているのが現状だ。正しく恐れて工事に臨もうとしている、管理組合、住民が情報面では置き去りにされている。これから築30年、40年のマンションの外壁改修が増える。費用面でも、国、自治体が補助金制度を設けるなど本格的な対策が求められる。

(NPO日住協論説会)

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