論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

436号 あらためて監事のあり方を考える

どこの管理組合の総会議案書でも「監査報告」が載っており、監事の署名捺印(コピーあるいは写し)がつけられているのが通例である。理事会が発行する議案書に掲載されているが、監査報告のページだけは作成の責任者が異なっており、理事会ではなく、監事である。独立の文書にするとかえって不便になるので、便宜上で議案書に一括されているだけのことである。

監事は組合員に責任

監事は管理組合の総会で、理事とは別に直接選出され、理事会が法令や規約、総会決定に沿って業務をしているかを監視するのが任務である。したがって、選出された総会に直接責任を負っている。監査報告は理事会に対してするのではなく、直接組合員に対して行なう。監事は理事会に出席し、理事長や理事に意見を述べることができるが、理事会は、その意見に必ず従うべき義務はない。監事と理事会の間に意見の相違があれば、最終的な判断は総会での組合員の意思で決まる。

監査報告つくる責任

先日、監事が(監査報告に)署名捺印を拒否したので総会ができないとマンション管理士がいうので困っているとの話を聞いた。たしかに監査報告は総会の必須事項だが、監事の都合で監査報告が出されなかったからといって、総会が開けないということはない。そもそも監事は、自ら適当と思う監査報告を作成する権利と義務があるのだから、「署名拒否」など本来はありえない。会計や業務が適正か不適正か自分で判断し、その理由を書けばよい立場である。監査報告をつくる責任は監事にあって、理事会にはないのである。

監事の強大な権限

万一理事会に不正や不当な行為、あるいは総会の決定の大幅な逸脱などがあった場合には、監事は総会の招集をふくむ強大な権限をもっている。現に最近、監事が総会を招集して、総会決定を実行しない一部理事の罷免を提案・可決した事例で、監事の行為が正当なものとして裁判所に認められた例がある。監事には、自らの権限を有効に利用し、組合員のために理事会とは別の角度から、大いに努力することを期待するものである。

(NPO日住協論説委員会)

Related posts:

  1. 388号 監事の役割にいっそうの理解を