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351号 マンション管理士制度創設10年に思う

本年はマンション管理士制度が発足してから満一〇年である。が、マンション管理士制度は今、大きな転換点を迎えているのではないか。

周知の如く、第一回のマンション管理士試験が実施されたのは平成一三年であった。その時は受験者が一〇万人程に達し、一種の社会的フィーバー現象を呈したほどである。それがどのような思惑でそうなったかは今でも不明であるが、その後は思惑も薄れたのか、最近は受験者も二万人程で、合格者も年間千五百人ほどとなっている。それでも、これまで一〇回での合格者は二・六万人位にも達している。

ところで、マンション管理士の「業」の対象となる管理組合は全国でどの位存在するのであろうか。国交省は定期的に全国のマンション戸数は発表しているが何故か管理組合数は公表していない。最新のマンション戸数五七一万戸という数字から、一マンションあたり平均戸数を約八〇戸として計算すれば、管理組合は約七万管理組合と推定される。マンション管理士一人当たり三管理組合弱ということにある。これではマンション管理士があぶれるわけである。もちろん、管理組合の数だけの問題ではない。実際、マンション管理士として管理組合との間でビジネスが成立している人がどれほど存在するであろうか。多くは、自治体が行う管理組合・区分所有者向けの「相談会」に相談員として使ってもらっているというのがせいぜいといったところではなかろうか。

実は、こうした問題は制度発足の時から想定されていたことである。「マンション管理適正化法」は、(1)管理業者への規制と、(2)管理組合の管理力強化という二本柱で制定され、後者の軸としてマンション管理士制度が位置づけられたのであるが、そうした制度設計にもともと無理があったということである。国交省などは最近になって、区分所有者は自らの管理力強化よりも、管理を「専門家」に全的に委ねたいと考えているなどと言い出している。その象徴が今提起されている「第三者管理者」方式である。これは端的にいってマンション管理をマンション管理業者に「全的に委ねる」という考え方である。こうなれば、「管理組合の管理力強化」どころか、理事会もいらないということになる。したがって論理的にはマンション管理士制度もいらないと言うことになる筈である。「適正化法」「適正化指針」からの転換である。

こうしたなかでマンション管理士制度の展望をどう考えるべきであろうか。一つの考えは、資格試験から検定試験に転換するということである。それは、マンション管理士試験を「業として行う」ものの名称資格試験と考えるのではなく、管理組合活動における役員等の一定水準確保の目安=検定試験として位置づけるということである。これならば、マンション管理士試験も一定の意義をもつのではないか。マンション管理士制度に向けられた当初からの「思惑」は、今から見れば幻想でしかなかったと言えようか。

(論説委員会)


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