論談集合住宅管理新聞「アメニティ」論談

438号 タワーマンションの制振ダンパーデータ改ざん問題

制振ダンパーの機能

KYB(カヤバ)と川金による制振ダンパーのデータ改ざんで影響を受けるのは、マンションでは免震・制振構造のタワーマンションである。253件と発表されたデータ改ざんした制振ダンパーが使われているタワマンで、「装置の交換」が生じた場合、制振装置は上階の壁などに組み込まれており、そこに免震ダンパーがあるので交換は容易ではない。
一方、比較的交換が容易なのは免震構造である。それらの多くは、基礎部分に免震装置がある。免震装置はゴムと金属の積層ゴムで構成され、建物を支えるために数多く設置される。震度5強以上の強い地震が起きると、免震装置の上でタワマンは揺れるが、建物の揺れを免震装置が吸収しゆっくりと動く。これによって、住戸内の家具等の転倒などを防ぐ。
ところが、免震装置だけでは建物が揺れ続けるので、それを収束させる装置が制振ダンパーだ。制振ダンパーは制振制御が強すぎると急ブレーキをかけたようになり、弱いとブレーキが効かない状態になる。建物固有の構造によって異なるから、それに応じて制御できる強さが求められる。
国交省は「今すぐに危険と言える状況にはない」などと、居住者の不安に応えずに、人ごとのような、しかも業者の広報マンのような発信をしている。ダンパーの役割を考えると不安が増し疑心暗鬼に陥る。KYBと川金は対象タワマンに対して早急に告知し、その対策も明確にすべきである。

真実を自立的に知ろう

NPO日住協は創立50周年を本年迎えたが、その端緒は古くて新しい問題から誕生した。当時、旧・日本住宅公団が分譲した団地で、ベランダの落下や雨漏りが多発。14団地管理組合が集まり、旧公団との交渉に臨んだ。NPO日住協は瑕疵問題をキッカケに誕生したのである。団地やマンションの瑕疵問題は今も続いている。
制振ダンパーはタワマンに不可欠の装置であり、それが正常なのか否かを、KYBや川金或いは開発会社やゼネコンからの告知を待つことなく、本件の被害者かもしれないとの危機感意識を管理組合は抱き、彼らと交渉することを勧めたい。
横浜の杭問題も管理組合が自立的に調査し、それをゼネコンなどに突きつけた。風評被害よりも危険性を重視し、社会に公表して満額とも言える回答を得た。
タワマンの管理組合のなかには「公表すると価値が下がる」と述べているところがあるようだが、当該タワマンの次なる購入者への重要事項の一つとしても捉えたい。ウソを糊塗することなく、管理組合は自立的に真実を明らかにする努力を期待したい。

(NPO日住協論説委員会)

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