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第2回「訪問相談・派遣専門家スタッフ会議」議事録

第2回 2012年2月21日 午後6時~8時25分 NPO日住協4階

◆  出席者 18名

□  出席者は、前回と3人が入れ替わっているが、合計は18名で同じである。

□  今回の討論・報告は、①T氏から前回討論内容について「管理費の組合員への払い戻しはできない」などの点で「補足」(異議)が文書で出された点、②大石理事がこのスタッフの最初の事業として2月19日に横浜市のマンション管理組合の相談に訪問した実例の報告、③相談事例研究1、コミュニティ活動と自治会の設例、④相談事例研究2、耐震補強工事と総会決議(1階の補強工事への上部階の区分所有者からの異議)、⑤K氏から当日出された相談例(鉄骨会談での転倒事故の治療費、損害賠償を管理組合が拒否しているが…)について活発な討論がおこなわれた。以下にそれぞれの要点を記す。

□  管理組合管理費の残高の区分所有者への払い戻し

T氏から「余剰の管理費」は区分所有者に払い戻すことはできない。その理由は、管理組合(権利能力のない社団)の資産は構成員の総有に属し、個々の財産について処分権を持たず、共有と違って分割請求権もないからである。この点について前回討議の補足としてもう一度取り上げてほしいとの要請があり、説明文書も配布された。

討論ではさっそく管理費の余剰については総会議決(過半数)さえあれば可能という反論があり、規約の規定次第という指摘もされた。資産が総有であることはその通りだが、しかしその資産の使用を総会議決(予算)で決める。だから、通常は一定額の繰り越しと、それを超える分は修繕積立金への繰り入れにするのが当然だが、総会決議さえあればその他の処分方法でも差し支えない、というところで大方の意見はまとまった。なお、管理会社変更などで高額の余剰金が発生した場合、区分所有者に返還したことがあるが、それによって管理組合(理事会)への区分所有者の信頼が飛躍的に高まったというある管理組合の経験も報告された。

□  初めての訪問相談事例 大石理事から1月にNPO日住協に相談のあった横浜市の30戸のマンション管理組合に2月19日に相談に行った件の報告があった。元地主が長期間理事長をやっていて、管理会社との間で勝手に運営しているという実態で、総会や理事会の記録などはまったくなかった(管理会社が持っている?)。ようやく最近、理事長が交代になり、相談相手を求めていた。3時間の予定のところ4時間半、大方は聞き役であったが、大変歓迎された。今後はスポットで相談を受けていくことになると思うとの報告があった。

□  相談事例研究1 コミュニティ活動と自治会との関係

まず端的にということで、I氏から①自治会は独自がいいか⇒○、②管理組合一つだけでコミュニティ委員会を作るのは⇒×、③そのさいの賃貸人の権利、義務、④管理組合の名称を「管理自治会」などとするのは⇒③、④いずれも②が×なので、回答不要、⑤100戸ぐらいだから、近所の自治会に入るのがよい、との回答があり、それをめぐって論議した。この問題では、行政の態度もあり、一律に答を決めるのも難しい点があるとの指摘もおこなわれ、東京は管理組合のままでも相手をする自治体があるが、首都圏の他の件では、管理組合は住民団体ではないからという硬直した対応のところがほとんどで、防災などの点からいっても自治会がどうしても必要になるなどの話が出された。なお、③、④に関しては、区分所有法上の区分所有者の団体の体をなしていれば(区分所有者全員による構成)、その名称は「管理組合」でなくてもいい(法人は「管理組合法人」と法定されているが)がマンション管理適正化法の規定もあり管理組合と名乗るのが、分りやすく適切なのは間違いない(なお、参加者のなかでも「親和会(?)」と名乗っているところがあるとのことだった)。

□  相談事例研究2 一階(ピロティ)の耐震補強工事を総会の過半数決議で決め、実施したが8階の区分所有者が異議を唱え、訴訟になった

この事例は実際に裁判になっているケースだということである(一審は区分所有者敗訴)。議論の結果、①1階だけの耐震工事では8階の住居の安全が脅かされるという根拠は薄弱。むしろ、1階を補強して地震のさいにつぶれないようにすることは全館すべての階に必要。②一応、普通決議でよいのではとの意見が出たが、この点は、鉄線を巻きつける程度なら普通決議でいいが、躯体に影響を与える大工事なら特別決議になるはずとの意見も強く、事例ではその点が不明なので明確な結論とはされなかった。③8階に特別の影響があって、その者の承認というわけにはいかない。④「借り入れについて、別の決議が要る」ということはない。借り入れが不可となれば工事ができなくなるのだから、別々に決議をするのは不合理で一つの決議のなかで工事内容、予算額、そのうち借り入れ分およびそれぞれの明細を一体として提案し、承認をうけるのが当然。⑤1階の店舗の休業補償についても議論はまちまちだったが、大方の意見は支払ってもよいということになった。

□ 相談事例研究(追加) 「欠陥のある」マンション階段での事故の賠償責任

K氏から、事例として、通常のRC階段ではなく、鉄骨階段を常用する住居が1戸だけあり、その住戸の居住者が雨のときに階段で転び、管理組合と管理会社に損害賠償を請求したが、自己責任だとして応じていない。どう考えるか、という問題提起があった。やはり自己責任だとする発言もあったが、まとまった結論は、共用部分であり管理組合に責任がある。とくに「事故後、滑り防止のため、階段の踏面に穴をあけるなどの対応があり、設置者の瑕疵も推定される(無過失でも責任があるのではないか、施設賠償責任保険を掛けるのが望ましい)ということである。相談を受けた際は、弁護士会の調停を紹介したとのことで、それで正解ではないかということになった。

次回日程は、3月13日(火)午後6時から。


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