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報告 第6回 訪問相談・派遣専門家スタッフ会議

2012年6月19日 午後6時~8時 NPO日住協4階会議室

夜半に台風の襲来が予報されていたため、雨のなか10名の参加にとどまった。
まずこの一カ月の派遣相談申し込みの進行状況の報告があり、2件について具体的に着手の段階になっていることが報告された。

次回の会議は、「標準管理委託契約書の分析」をテーマとすることにした。報告する担当者も決定した。その後、6件の「相談事例研究」に関して、意見の交換がおこなわれた。内容は、以下のとおりである。

◆  相談事例研究

通例にしたがって、6件の設例について出席者から回答してもらい、討議をおこなった。司会の大石理事から、「今回の質問は簡単なものばかりである」と報告されたが、議論をしてみると、問題が相当ひろがってくることが明らかになったように思われる。

(1) 管理費等の滞納が4ヵ月になったので、法的措置を取りたい。簡便な方法として支払い督促と少額訴訟があるようだが、①それぞれの特徴と違いはどういうものか、②どちらが使い勝手が良いか、③その場合の事務の要点を教えてほしい、との相談があった。どう答えるか?

まず一人から、①~③について簡潔な説明があり、結論として「少額訴訟がいい」との回答があった。ついで、法的措置の内容の説明や考え方はそのとおりだが、裁判所で結論が出ても回収できるかということは別で、回収できないことが多く、できるだけ訴訟にいかない方がいいのではないかとの指摘があった。また経験者から「弁護士名の督促状」や「各種の訴訟」は支払いをさせるのに相当効果があったことも報告された。

ついで、滞納者には、「不満があって払わぬ人」と「経済的事情で払えぬ人」の2種類があるので、事情に応じて区分して対応することの必要性が強調された。

また、正式訴訟の場合の弁護士費用や、理事の時間的条件なども考慮の必要があり、とくに経済的事情のばあいなどは訴訟を避け、話し合いで解決方法を見出す努力をおこなうことを原則にすべきだとの考えが、何人もから発言された。

(2)  第一回大規模工事の時期が近づいてきた。管理会社に勝手にさせないために、「設計・監監理方式」を採用することにしたい。施工業者は仕様書に基づいて公募して決めればいいが、仕様書を策定したり、施工監理を担う業者はどう決めればよいか。これも競争見積もりのような形で選ぶべきか?

設計監理は、「相見積もり」は適当でなく、「個人的なつながり」などを生かして、信用できる業者を選定するのがよい、という発言があった。当然だが、「個人的つながり」はどうかと思う。「アメニティ」紙に広告が載るなど日住協がすすめている業者など、公的に確認されている業者がいいとの発言があり、これに対しても広告は広告であって、推薦業者ではないとの指摘もされた。

さらに「2,3の業者を呼んで、ヒアリングをおこない、業者の内容や姿勢をみて判断するのがよい」ことも指摘された。なお、日住協が一昨年末に4都県でおこなった「マンション大規模修繕 設計監理方式の導入 コンサルタント選定マニュアル」の講演は、「コンサルタント業者を公募し、書面審査で2~3社に絞って、ヒアリングをおこない、1社に内定したうえで見積もりを出してもらうのが適切」という上記の指摘と同じ考え方である。

管理会社の入っている場合、管理組合が動く前に管理会社から業者の推薦や紹介が行なわれることが多く、上記の基準どおりにすすめにくい状況があることの指摘もあった。

(3)  規約に役員の報酬規定があるので、細則で報酬額を定めて支払うようにしたいが、どのように考えたらよいか? この管理組合の組合員は300名、役員は10名。年間管理費額は2000万円。①支払い額の水準(「世間相場」も踏まえて)、②額は一律か、それとも役職別に差をつけるか? ③基準は月額か、年額か、それとも理事会出席か。

最初に、「この種相談は多い。相談者の管理組合の実情や相談者の意向によって対応するが、そもそも個人的には、払うべきではないと思っている。額はバラツキがあるし、定額であっても、出席に応じて支払うのであっても、どちらでもよい」という発言があった。参加者の多数は、この問題での支払いの可否や金額についての原則はなく、「どちらでもよい」が大方の意見であった。ただ、支払ったから理事が責任を感じるのは事実かもしれないが、報酬を支払おうと支払うまいと、理事の責任は変わらないことも確認された。また、「理事はボランティア」との発言に、「理事は義務であってボランティアではない」「自分のためにやることをボランティアとはいわない」「理事は義務のように思われているが、権利である」などの指摘があいついだ。

なお、「理事は権利であるとともに、義務である」という考え方を管理組合として明らかにしているところがある、との紹介もあった。また、一般には報酬を支給している管理組合は15%程度という調査結果になっているが、千葉県の旧公団系の管理組合では60%ぐらいが支給しているとのことである。

(4)  標準管理規約では、理事会における理事の代理について、コメントで“規約で、事故あるときは配偶者に委任できるとの定めがあれば有効”としているが、これは理論的に正しいか? 理事会における理事の代理についてどう考えるべきか?

この件では「有効」との判例があり、規約に規定があれば有効であることが紹介された。標準管理規約にも同様の考えで、コメントがつけられている。しかし、そもそも理事は氏名を明確にしてその個人が信頼されて選出されてくるもので、選出された本人が区分所有者から委任されてその役職についている性格のものである。したがって「理論的」には、代理(や委任)ができない性質の役職のはずである。望ましくないが、こういう状況から言ってやむを得ないという位置付けであろう。

また、理事が各棟から一名づつの割合で選出されており、理事会の決定を棟の区分所有者に伝達する任務があるので、理事会の会議に代理が出てこないと都合が悪いとので、代理は当然のように認められているという話もあった。これには、ほんらい別に棟代表者会議をおこなって理事会決定を伝達するのが筋だという指摘もあった。

いずれにしても理事会は通常過半数出席で開催できるのであるから、それだけの出席を確保すべきで、代理人や委任状などによらず成立させるのが本来である。

(5)  1階の区分所有者(居住者)が「エレベーターは使用していないから、その分の管理費や修繕積立金を払う義務はない」と言ってきた。①どう回答するか、②同様の質問を「階段」について言った場合はどうか? ③また、1階が店舗でエレベーターを使用しない構造になっていて、2階以上の居住者だけが費用を払うことになっているマンションがあるが、これは前期とどう違うのか?

最初の①と②のは、2階以上と同様の額を支払うのが当然である。理由は、その意見をもつ1階の人に分かりやすくいうと、1階の価格は上の方まで建物が広がっているから、現在の価格にとどまっているのであって、2階以上がなかったら、現状の5倍にも10倍にもなるではないか、ということであるとの説明があった。マンションにどうしても必要なインフラだから、という説明も他の人から追加された。また判例や解説本の説明の方向で、1階の人もエレベーターに乗って花火を見るために屋上にあがることもある。利用の頻度ではないとの説明もあった(この説明には、「説得力が弱いのでは」という発言もあったが)。説明内容は別として、結論的には質問のような考え方は認められないのは当然である。

②についても判例があり、このケースは、1階の店舗部分は入口が全く別など、形態上2階以上とは完全に区分されている場合は、エレベーター費用などは1階の区分所有者(店舗)は支払わなくてもよい、と判断されている。

ここで「エレベーターは建物の構造上どうしても必要であり、上の階が存在するために1階の価格が安くなっているという理屈だと、③もエレベーター費用を負担すべきだと言う論理になるのではないか、という指摘があった。この点はあまり深く議論せず、矛盾はあるが判例上そうなっているというだけですませた(なお、この例でも1階の店舗も、屋根や壁面をふくむ躯体部分は「全体共用部分」であるから、費用の負担をすることはいうまでもない。一般に利用の形態で「一部共用部分」を認める範囲が広いように思われるが、あまり広くとらえるのは適切ではないと思われる)。

(6)  区分所有者51人、実出席者30人、理事長への委任状20人での総会。理事長が以前に強引に決めて、防犯カメラを設けているが、この総会ではその質的アップの工事提案がされている。出席者での賛否は賛成10、反対20であったが.議長(理事長ではない)は、理事長委任の賛成票が20あるとして可決した。①これは許されるか、②また、現在は理事長と副理事長がそろった場でないとこのビデオを見られない決まりになっているが、これを緩和して理事が2人いれば見ることができるようにすることも同様の票数関係で可決された。これもよいか?

このケースが法的にどうかという質問にたいする答は単純で、可決について区分所有法や標準管理規約に照らして何も問題なく、可決が成立することはいうまでもない。しかし、この質問は最近実際に相談会であったものにもとづいている。質問者の真意は、反対者は総会会場に来て熱心に討議に参加しており、委任状は議案の内容なども十分わからないで委任した可能性も高いのに、こういう決め方はおかしいではないか、何とかならないかというところにある。そこで、実際に行なわれた回答は、「たしかに法律的には、決議に瑕疵はなく、成立している。しかし、これを覆す方法は全くないわけでなく、規約にしたがって工事の中止などを議案とする臨時総会を求める署名をおこない、総会を実施して新たな決議で、前の決定事項を変更すれば、質問者の意向が実現できる」として、方法を説明した。反対者が20人いるのだから、全体の5分に1にあたる11人の署名を集めるのは容易であり、反対者が26人になれば、総区分所有者の過半数になるのだから、どうしても決議を変えたいと言うのなら、やってみたらどうか、というものであったことが紹介された。

◆ 次回は、7月17日(火)午後6時から8時30分まで


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