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管理会社との付き合い方 「相談事例① 優秀なフロントマンとは?」

- 相談事例① 優秀なフロントマンとは? -

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Q 東京都品川区 築16年、550戸、店舗やスポ-ツ施設もある大規模マンションの会計担当理事のものです。管理費の予算規模は、収入が年間1.7億円、支出が1.5億円程度で、毎年、余剰金が出ています。入居以来、デベロッパ-系の大手管理会社に全面委託管理で、第1回目の大規模修繕も管理会社が実施しましたが、2年前に管理会社のフロントマンが変わりました。就任の際、支店長によれば、「(当社でも)優秀な人材」との触れ込みで、資料の準備や理事会での説明は、非常にそつなく行われ、理事長はじめ、安心していた理事も多くいました。
ところが、新フロントマンの就任以来、前期、今期と、管理費の支出額が従前に比べ顕著に増大 してきていることに気付きました。会計担当理事として、支出明細を詳細に調べてみましたが、 数万円~数十万円単位での、あきらかに不要不急とみられる修繕工事や備品購入の支出がたくさ んあります。それらは、フロントマンが提案し、都度、理事会で異議なく承認がなされていますが、 このままでは、一般修繕費、その他諸経費、予備費などを含めた各項目の予算枠は目一杯使われ、次期予算案は、収支ぎりぎりか、管理費徴収額の値上げを余儀なくされそうで気になっています。 また、住民から、他マンションよりも割高とされる管理費や修繕積立金の値下げを要望する声が、年々高まってきています。

A: 管理会社は営利企業であり、社員は利潤追求に邁進します。そして、業界としても、まだまだ古い体質を引きずっており、競争原理が働きにくく、構造的に殿様商売が成り立っています。

住民が無関心で、管理会社にすべて任せきりの管理組合は、とことん、管理費・修繕積立金を搾り取られると考えてよいでしょう。どこの管理会社が良い悪いという以前に、管理組合が自主性とコスト意識を持っているかどうかが、きわめて重要です。同じ管理会社でも、管理組合がしっかりしているところは、真剣に管理業務を行い、甘いところは、とことん収益の対象にする、という構図が実態に近いと言えるでしょう。

ご相談の事例では、「優秀なフロントマン」とは、住民に有難がられるような、良心的で親切な人員ということではなく、お金(管理費)を使わせる手腕に長け、企業の収益向上のために秀でた力を発揮する人材、ということだったのでしょう。管理会社では、そのフロントマンが担当する管理組合で、どれだけ多くの管理費を使わせたかが、社員としての営業成績となると言われています。実際、フロントマンの人事募集広告には、『修繕工事等の受注営業もあり。営業経験者大歓迎』との記載例もあります。本来、どれだけ住民の役に立ったかどうかでフロントマンの評価がなされるような管理会社の態勢であって欲しいものです。

修繕積立金の取り崩しは総会決議事項なので、安易に理事長、理事会承認だけで、予算の執行を決定できませんが、一般修繕、日常修繕という項目で、管理費から支出される修繕費(数万円~数十万円の修繕)は、金額の多寡や用途等について規定がないと、放漫な予算執行になりがちです。フロントマンから提案が出されたときに、緊急性や必要性、そして、本来の長期修繕計画上での工事実施の時期とのかねあい等について、管理組合として、判断に自主性を持つべきところです。

この管理組合では、毎年、管理費に余剰金が出ていたのですから、管理費の値下げを検討すべきです。「管理会社任せが楽でよい。」ので、“優秀なフロントマン”の言いなりになっていては、極端な場合、理事長は“お殿様”にされ、なんでも「よきにはからえ」で工事は発注されるようになります。やがて、管理費や修繕積立金は値上げを余儀なくされ、管理組合は、まるで、管理会社の“御用組合”のようになってしまいかねません。

管理会社に食い物にされていく前に、住民は、自らの財産は自分で守るという自覚を持ち、結束して、自立的な理事会運営を目指すべきです。住民の中には、コスト意識の高い方や、経験のある方もおられるはずですから、皆で声をかけあって、理事への推薦や立候補者を募ってみましょう。これは、管理会社を敵視するということではありません。管理委託契約書を精査、必要とあれば見直し、契約の内容に沿って適切に管理業務を行っているかどうかを毎月の理事会で主導的にチェックします。管理組合のパ-トナ-として、管理会社との間には、適度な緊張関係を持たせた方が良いのです。

そして、事務作業などは管理会社に任せるにしても、予算の執行や総会議案の作成等における管理組合の意志決定、つまり“判断”の部分は、しっかりと管理組合側が主導的に行うことが、何よりも肝要です。

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