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書評 『マンション管理見直しの極意』(自由国民社)

書評 『マンション管理見直しの極意』(自由国民社)

NPO日住協理事 大石和夫

書籍「マンション管理見直しの極意」自由国民社

自由国民社から『マンション管理見直しの極意』との書が発行された。著者は、マンション管理コンサルで「マンション管理見直し本舗」という会社を経営している村上智史氏である。その意味では、本書も氏自身のビジネス紹介的な要素が多大であり、実際第8章はズバリ「マンション管理見直し本舗がめざすもの」というサブタイトルとなっている。

とは言え、管理組合が抱える問題を「隠れメタボ」と「簿外債務」と命名し、その解決方法を自らのマンション管理組合での実践体験の報告を交えつつ述べている点で、一つの説得力を持つものとなっている。

「隠れメタボ」とは、通常の管理委託費(ランニングコスト)のコスト割高のことを指す。このことは、既に多くの書でも語られているところであり、一般にも分譲当初の通常管理費は2割から3割は引き下げられると言われている。本書でも、著者マンションでのかなりの引き下げの事例が述べられている。

「簿外債務」とは、「隠れメタボ」の裏側の問題であり、通常管理費が高いので、分譲会社は販売戦略上、修繕積立金をかなり低めに設定されているので、いざ大規模修繕ということになると、資金不足に陥るということである。

著者は、この問題を表裏一体の問題であるので、通常管理費を削減し、その分を修繕積立金に回すという方法で解決することを述べている。

この他、ユニークな提案としてあるのが「管理会社とは別の管理人を」というものである。いわば、管理会社を「見張る」管理人というわけである。これが、うまくいくかどうかはわからないが、ひとつの提案とはいえよう。

最後に、若干気になる点をいえば、本書の最終項が「『第三者管理』の担い手を目指してとなっていることである。国交省での議論を「『パラダイム転換』の兆し」と捉えていることも含めて、やや前のめりになっているのではないか?「適任とされる専門家がどれだけいるか」という疑念を示してもいるのであるから、マンション管理の方式に関する歴史的考察をふまえて、今日の「第三者管理」問題をもう少し慎重に捉えるべきではなかろうか。


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