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諏訪2丁目住宅建替え竣工

諏訪2丁目住宅建替え竣工

戸数では全国一に

多摩ニュータウンの諏訪2丁目住宅の建替え工事が竣工、11月から入居が始まった。640戸から1249戸へほぼ倍増、建替え戸数では、全国一となる。

中心地区のC棟、手前は共用棟

中心地区のC棟、手前は共用棟

42年前の1971年に多摩ニュータウン最初の団地として開発されたが、建替えでも先陣を切った。

団地内施設を、地域に開放するなど新しいタイプの建替えとして注目される。

新マンションは、「Brillia多摩ニュータウン」と名付けられたが、地域開放型のマンションとして、再スタートを切る。(川上湛永)

高低差を生かす

11月1日から、入居予定者の引っ越しが始まった。トラックが横づけされ、荷物が運びだされる風景があちこちで見られたが、あまり目立たないのは、マンモス住宅らしい。

緑の斜面につくられた散策ができる木道

緑の斜面につくられた散策ができる木道

「住宅から、世界遺産になった富士山がくっきり見える。うれしいですね」と若い夫婦。旧団地の敷地の高低差を生かして、建替えられた。64,399㎡と広い敷地に、高台に14階建ての4棟、低地に11階建ての3棟が建つ。高低差が30メートル近くある。低地ゾーンは、従来の松、クスノキなど緑が残され、傾斜のある緑地をめぐる木道なども設けられた。駅まで近い利点からも、旧団地に住んでいた住民は、低地にある棟を選んだ人が比較的多い、と聞いた。

ゲートなし、通り抜け自由

ゲートなし、自由に通行できるマンション内の通路の写真

ゲートなし、自由に通行できるマンション内の通路

最近の新築マンションは、ゲートを設け、ガードマンが常駐するなど、防犯面から閉鎖的マンションが多いが、その点、諏訪2丁目は、逆だ。ゲートはなく、4棟の高層棟が並ぶ地区は、真中に通路があり、誰でも通行できる。いずれ多摩市に移管される予定で、正に公道となる。

中央にあるC棟に、共用棟がある。そこに、デイケアセンター、キッズルーム、クリニック、保育所、コミュニティカフェなどがが設けられ、住民だけでなく、地域住民も利用できる。

コミュニティカフェ、全面には噴水のある水路も の写真

コミュニティカフェ、全面には噴水のある水路も

旧公団住宅は、ほとんどで団地内通行が許され、地域開放型の団地づくりが伝統だが、その伝統を維持したといえる。諏訪2丁目管理組合は、住民のコミュニティ形成ががうまくいっており、夏祭り、どんど焼き、盆踊りなど祭り好きの団地で知られていた。地域開放は、諏訪2丁目の伝統だったが、建替え計画の過程で、学者、専門家、地域のボランティア、管理組合などで「まちづくりデザイン会議」をつくり、どういう建替えにするか構想したが、その中でも地域開放が建替えの中心構想とされた。

省エネを本格的に取り入れ

全7棟の屋上に、太陽光パネルが設置された。発生した電力は、共用スペースの一部に利用される。

一括受電の導入も目玉だ。福島第一原発事故以来、電気代の削減策として、新設のマンションで、一括受電の導入が盛んだが、NTTファシリテーズが手掛けた。
共用部などでは、10%前後の電気代が削減できるとされている。
開放廊下や専有部の室内では、LED照明が大幅に導入された。専有部では、ひとが近づくと点灯する人感センサーも設けられた。

省エネのひとつだが、電気自動車3台が用意され、カーシェアリングが導入された。1249戸に3台はわずかだが、需要が増えれば、対応を見直す考えだ。 また、共用棟屋上は緑化された。マンション敷地内は、樹木も多いのが特徴だ。

ドッグランと菜園

ペットの飼育は解禁とされた。C棟には、鎖をといて遊ばせる芝生広場、ドッグランが設けられた。

ペットが離せない住民には、歓迎されそうだ。クラインガルテン(菜園)も、3カ所、50区画、設けられた。1区画1坪程度だが、野菜つくりにこだわるひとには、楽しみがふえる。

B棟前の芝生広場 の画像

B棟前の芝生広場

クラインガルテン(菜園)も整備された。

クラインガルテン(菜園)も整備された。

異彩を放つゲストハウス

斜面に建つモダンなゲストハウス

斜面に建つモダンなゲストハウス

低地のE棟と高台をつなぐエレベーターが設けられた。住民だけが利用できる。

エレバーターの終点にゲストハウスが作られた。平屋、黒塗りで、斜面に建つ。デザインが別荘風で、目を引く。

住民の親戚、友人などが泊まれる施設だ。C棟の高層階にも一室ある。

駐車場は、平置きと自走式

駐車場は、全戸の7割、856台を整備したが、機械式駐車場はなく、平置きと自走式だけだ。当初は、機械式を計画したが、リーマンショックによる計画見直しで、変更された。整備費、維持費を考慮すると、見送らざるをえなかった、という。それだけ、敷地に余裕があったという裏返しでもある。利用者から見れば、平置き駐車場の方が、利用しやすく、歓迎だ。

一般分譲は、即日完売

一般分譲は、684戸。2DK-4LDK、2600万円~4700万円。最多価格帯は3400万円だった。京王線・小田急線永山駅から7,8分という便利さ、環境の良さが評価され、昨年から4回に分け、分譲されたが、いずれも即日完売だった。購入者は、地元の多摩市、八王子市35%,23区内10%などだが、30,40歳代が60%で、高齢者が多い旧住民との世代間交流が、うまくいけば活性化につながる。 一方、640戸の旧住宅所有者のうち、90%以上が戻る。戻り率90%は、異例の高率だ。

建替え計画に20年余

大型団地の建替えは、合意形成が難航して、途中で挫折の例が多いが、諏訪2丁目で成功したのは、入居して17年目ごろから建替えの話が持ち上がり、何としても建替えを、というコアグループが住民をリードしていったことがある。コンサルタントや開発業者も、何社も代わった。最終的に、東京建物㈱が引き受けて、具体的に動き出したが、2008年のリーマンショックで、マンションを取り巻く環境、条件が激変した。その中で、東京建物が、還元率100%を確保するという条件を約束したことで、住民の動揺が収まった。旧住宅は、5階建て、23棟、全戸3DK48・85㎡、間取りも同じだったが、その広さなら住民の負担はゼロとされた。
2010年3月に一括建替え決議が成立、区分所有者の92%が賛成、同年12月に建替え組合が発足した。
大型建替えでは、建設期間中の仮住まいが課題だが、諏訪2丁目の場合、周辺にUR(都市機構)の賃貸団地が数団地あり、いずれも空き家が多かったことから、URも賃貸住宅の供給に協力的で、これも建替えには好条件だった。

諏訪2丁目住宅マンション建替組合の加藤輝雄理事長は、ようやく完成した大型建替えに感無量だ。「これだけの建替えでは、反対者が必ず出るが、集会などでも反対者の意見を、夜を徹してでも徹底的に聞いた。そうしたわれわれの姿勢が、訴訟になった人も出たが、最後には建替えに漕ぎ着けた要因だったのではないか」と振り返る。

来年1月19日午後から、近隣住民も招いて、建替え完成を祝して、大がかりなお披露目の会を開く予定という。


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