賛助会員 トップに聞く ㈱太平エンジニアリング 及川 薫 代表取締役専務

賛助会員 トップに聞く
㈱太平エンジニアリング 及川 薫 代表取締役専務

 

(聞き手・日住協会長 川上湛永)

幅広い業務分野をお持ちですが、マンションの分野に進出したのは、いつごろですか。

及川 : 平成10年頃からですね。もともと、それまでは、マンションの新築の施工をやっていました。リフォームは、管理会社さんがやっていたんじゃないですか。ですから、ゼネコンの下で新築の設備中心にやっていました。旧住宅公団の仕事も、ずいぶん前からやっていました。もともと、先代の社長が日立製作所にいて、独立して空調設備工事を手掛け始めたわけです。当時、銀行さんが、空調を入れ始めた矢先でしたので、銀行の本支店などの空調工事をまず請け負いました。それから設備全般に広げていきました。

新築から始めたとは知りませんでした。リフォームとかビルメンテのイメージが強いですからね。

及川 : 今年で65周年になります。5月2日が創立記念日ですが、大々的に記念行事をやる予定です。旧日本住宅公団の団地もずいぶん手がけました。45年前ぐらいからですね。高島平団地の設備工事なんかもやりました。当時は、太平工業という社名でしたが、多摩ニュータウン、港北ニュータウン(横浜市)でも、何年間も、仕事をやりました。毎年、数棟以上工事をやらせていただいていました。日住協さんの会員さんの団地のいくつかは、私どもが施工させていただいています。そうした団地が、このところ、住民さんの高齢化がどんどん進んでいますね。

最近は、ゼネコンや管理会社の下での工事より、管理組合さんから受注する比率が高くなっているようですが。

及川 : そうですね。新築を主体にやってきましたが、マンションの設備改修などでは、マンションの管理組合さんなど、エンドユーザーさんから、直接受注する比率を増やしていますね。

ゼネコンさんの下より、実力を発揮できるのではないですか。ところで、マンションも建物の設備も経年劣化で、改修費用もかかりますし、厳しい時代に入ってきました。

及川 : 先を見通す力が問われますね。3月号の雑誌「ウェッジ」で、中曽根元総理が、あの人は科学技術庁長官なども務めましたが、日本の技術立国を提唱したのですが、周りから批判されたそうです。しかし、その後の日本経済の足取りをみれば、先見の明があったと思いますね。仕事でも先を見ながら進めるというのは、大事ですね。マンションでも住んでおられる方が、5年後、10年後どうなるかを考えて、マンション改修の提案をしてゆきたいと思っています。

中曽根さんの総理の時代に、中曽根民活が提唱されて、官はひっこめ、これからは民の時代だ、集合住宅も民が主体だということで、公団は分譲住宅の供給をやめました。これには、異論もありましたが、マンションの歴史の上では、エポックメイキングなことでしたね。しかし、公団も政府の住宅大量供給の号令で、とにかく量的拡大をめざしてやみくもに走っていたことは事実ですね。昨年11月に住民の血のにじむ努力で、42年目に建て替えられた多摩ニュータウンの諏訪2丁目住宅は、640戸の大団地でしたが、全戸48.85㎡の3DKでした。ワンタイプ団地は、他にも首都圏に限らず、全国的に供給されましたからね。

及川 : ワンタイプの方が施工も簡単ですし、管理も楽ですよね。でも当時は、建設省の指揮下、大量供給の時代ですからね。

日住協は、会員のほぼ半数は、旧公団団地の管理組合です。45年前に、当時の公団住宅の管理組合が集まって結成されました。ことし45周年で、節目の年です。秋には、記念行事も計画しています。

及川 : リフォームのほかに、今でも、5割近くは新築です。特に冷熱事業、冷暖房ですね、東京ガスの冷熱設備だけで、年間かなりの仕事をいただいていますが、冷熱事業は、30年前からですが、当初、日本石油の灯油暖房の指定工事店でしたが、灯油暖房が縮小してきたので、ガスの方の工事をやらないかということで、東京ガスとの取引が始まったわけです。その後、大阪ガス、中部ガスなど東京ガス以外にも広がってきました。超高層マンションも、私どもが得意にしています。

大平さんについては、ビルメンテナンスのイメージが強いですね。

㈱太平エンジニアリング 及川-薫 代表取締役専務

管理組合さんなどエンドユーザーからの受注を増やすことに全力投入ですと語る及川薫専務=東京都文京区本郷の本社で

及川 : ビルでは、大きな物件を管理していますが、最大は、東京国際フォーラム(東京・有楽町)のビル管理ですね。ご存知のようにイタリアの建築家の設計で、空間構成が独特で、ガラスの使用面積が多く、管理はなかなか大変ですが、やりがいはありますね。ビル管理については、管理から施工にフィードバックする機能を持っていないと、難しいと思いますね。建物も、5,60年たつと、用途も変わりますね。マンションも、20年も経つと設備も当たり前のようにあちこち劣化してくるし、エネルギーもガスになったり、オイルになったり、電気になったりと変わります。その変化をとらまえながらどう考えてゆくかですね。以前、ある鉄道会社の幹部の方にお話を伺ったのですが、例えば回転ドアなどは、設備に1件も使っていない、すべて風除室でコントロールしていると。さすがに、人の行動、動線をコントロールする技術を持っておられるのだなと感心しました。

全国の鉄道駅で、何百万の人の動きをコントロールしていますからね。回転ドアでいえば、04年3月に六本木で回転ドアに6歳の男児が挟まれて死亡する事故がありましたが、その後、ビル、とりわけ商業施設で、回転ドアの撤去が相次ぎましたが、その時、アメリカの技術書を読んだら、ドアで一番危険なのは回転ドアと指摘していました。で、一番安全なのはドアがない、2番目はスイングドアとありました。西部劇に出てくる酒場のドアですね。人間の行動をとらえればそうだなと思いました。

及川 : 西欧人は、もともと狩猟民族だから動物がどう逃げるか、それをどう追いかけるかを予測しながら行動する。日本人は、農耕民族ですから、その辺は、根本的に違いますね。そういうものを我々も取り込んでいかないといけませんね。売りたいものを売るのではなく、お客さんが買いたいものを提供してゆくことです。我々の会社でも、技術と信頼をこころがけていますが、やはり信頼が大事ですね。

供給側の理屈だけではいけませんよね。

及川 : 太平とやってゆくという信頼を得ながらやってゆく、メンテナンスに軸足を置いたのは、そういうところにありますね。

ところで公団団地は、築30年、40年たつと、住民も60歳、70歳と高齢化します。公団住宅は、一部に例外はありますが、RC5階建て、階段室型、当然エレベーターがありません。歳をとると、4階、5階まで階段を上がるのがつらくなります。足を怪我でもしたら、もう上がれません。転居するしかありません。階段室に、エレベーターを設置できたら、老朽団地がよみがえります。ベランダ側に廊下をつくって、棟の一方、または両方にエレベーターを設置すれば、廊下型マンションに生まれ変わりますが、公団団地の最大の特徴のひとつである、ベランダからの採光が失われるし、プライバシー保護の面でも問題が出ます。階段室にエレベーターを設けると、2-5階は、停止階から半階上がるか、下がる構造になります。これでは、バリアフリーには不十分です。いいアイデアはありませんか。

及川 : メンテナンスを売りにしている会社ですので、どういう解決策があるか、前向きに検討してみます。ゼネコンさんは、建物が完成すれば終わりですが、メンテナンスは、ずっと続きますからね。変な事をやると、太平さん、なにこれといわれますよね。

メンテナンス中心の企業は、先を見ながら進めるという要素が求められますね。20年後、どうなるかを予測してゆく。

及川 : 近くのマンションで、建て替えの相談があって、どんなことに気をつけたらいいかなどを聞かれますが、ビルにしても貸室率、レンタブル比をいかに大きくするかを検討しますね。無駄なスペースを減らすということですが、配管でも2,30年建つと更新する必要が出てきます。これがやりづらいと大変です。施工ができないことも出てきます。レンタブル比を高めることがいいことかどうか、設計の方と議論しますが、難しいですね。

余裕があったほうが、あとあと工事がやりやすいということですね。

及川 : 長い目でみれば、まったくそうですね。

4月からの消費税アップ、東日本大震災復興事業、6年後の東京オリンピックの関連需要などで建築費の上昇で、管理組合の計画修繕にも影響するなど、これから厳しくなります。また、そのあおりで、職人さんの不足が深刻ですね。

及川 : 特に木工大工さんの不足はすさまじいものがあります。65歳の大工さんが辞めたので、70歳の大工さんを雇ったという話も聞きます。

マンションの内装は、大工さんの仕事の占める割合が大きいですよね。床や天井は、木材で張りますからね。

及川 : 日本のマンションの特徴ですね。コンクリートの上に、根太を置いて床をふくのがマンションですからね。経済の効率化が追求されるなかで、職人さんを育てる土壌が薄れてきています。

海外から職人さんを招くことも、やらないといけませんね。

及川 : 現地で、共同で仕事を進めたことで、ミャンマーと交流が始まりました。日本に職人さんを招いて、研修させようと計画しています。まじめな人が多く、期待しています。日本政府の規則緩和をお願いしたいですが、ミャンマーとの交流は、前向きに取り組んでゆきたいと思っています。

㈱太平エンジニアリング
本社は東京都文京区本郷1-19-6、昭和36年4月設立、従業員2,184名。全国主要都市に支店・営業所27を置く。メンテナンス、リフォーム、給排水、ガス冷暖房、電気、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開。平成24年度の売上は、415億円。

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