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第2期「訪問相談・派遣専門家育成講座」第2回(マンション管理規約)

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予定時間を超えて活発な討論つづく(2012年9月25日)

NPO日住協主催の第2期「訪問相談・派遣専門家」第2回(マンション管理規約)が9月25日に行われました。

今回の講座はゼミナール方式で行なわれることになり、受講者のうちの2人が下記の4テーマを分担して報告し、それにもとづいて討論、さらに助言者(柳沢理事)の話の順ですすめられました。ここでは、テーマごとに、それをまとめて報告します。

 

【1】 規約と細則の区分はどうあるべきですか。本来「細則」に規定すればよい事項や総会で決定すればよい事項(たとえば委託管理会社名や管理費額など)であっても、一旦規約に載せられてしまうと、議決権全体の4分の3以上の賛成がなければ改正できないことになり、不合理です。そこで、規約と細則の区分の基準を明確にすることが必要ですが、どう考えたらよいでしょうか。具体的方策はありますか。

これは、テーマにも書かれているように、本来細則や総会の決議で済む内容が規約に入れられてしまっている事項は、早い機会に規約から外して正常な扱いにかえる必要があります。相談があれば規約を改正してほしいという対応をしてもらいたいという意図で設けられたもので、かなりの管理組合で現実に直面している問題です。

一応、区分所有法で規約によって定めなければならないとされている事項は、大きく、

【規約で独自に決められず、区分所有法の規定と同内容にすることしかできない事項】
【規約によってのみ独自のルールを定めることができる事項】
【規約のみならず、集会決議等によっても定めることができる事項】

の3つに分けられます。

「規約で独自に決められないもの」は、区分所有法に規定されているものに限られますが、規約独自に決められるものは区分所有法の挙げられているものに限らず、区分所有法その他の法律に抵触しないかぎり、総会で自由にルールを定めても差し支えありません。また、それ以下の重要性しかないものは、規約に定めておけば、理事会で決めるなど、総会以外の機関で決めるとすることも可能です。

それはともかく、このような3分類があることと、区分所有法に縛られる事項にくらべて、「規約によってのみ、独自のルールを定めることができる」事項がきわめて多いことが特徴です。つまり、それだけ個々の管理組合の独自の判断が可能で、規約で自由に決められる範囲が広いということがよく示されているといえます。

討論では、規約と細則の上下関係などが議論になり、原則としては規約が上位規範であり、規約に「この事項の詳細については細則で規定する」などの文言を書いておくことが必要です。ですが、包括的に「この規約を具体化するために、細則を設けることができる」と定めてもよいのではないか、その方が対応できる範囲が広く、適切ではないかとの指摘もありました。また、標準管理規約の18条(使用細則)と70条(細則)の区別、なぜ別々の条項になっているかの疑問も出されました(別々にする必然性はない)。

 

【2】 2002年の区分所有法改正で、第45条の書面等による決議の適用範囲が、「この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる」(第1項の一部)と、従来は書面決議は議案そのものについて全員の賛成があった場合に限られていたのが、書面等による決議をすることについて事前に全員の賛成があれば、書面決議が可能であると、適用の範囲が拡大されました(この場合、議案に全員の賛成は必要でなく、書面決議、特別決議とも規約の規定数があればよい)。
自分の管理組合の規約にはまだ入れていないが、この条項を活用したいと組合員80名のある管理組合から相談されたとして、第45条の説明をしながら、相談者へ自分ならこう回答するという内容を説明してください。なお、この場合、管理者に課せられている年1回の集会での報告義務(第43条)はどうなるのかについてもふれてください。

 

報告者の説明(回答)は、リゾートマンションやワンルームマンション(投資型)など区分所有者が実際に住んでいないことが多いマンション、あるいは小規模のマンションなどのばあいはともかくとして、質問のような一般的なファミリーマンションの管理組合のばあいには、手続きについての厳密な規定が定められていないこともあって、書面の扱いなどが区分所有者によく分かる形で行われるかどうかの危惧もあり(事務を扱う管理会社などに有利なように手続きがおこなわれる可能性もあるがチェックできない)、相談に対しては、私なら「やらない方がいい」という回答をするというものでした。

討論参加者の大部分も、だいたいこの説明の方向に賛同でした。

3ケタの区分所有者がいるような比較的規模の大きい管理組合では、全員というのは(書面決議という方法への同意であっても)困難で、対象にならないというのが一般的な受け止めのようですが、実は立案者の意図はそうではなく、相当大きい管理組合にも(というよりむしろ大規模な管理組合を対象に)導入をしようと考えているのです。2002年の区分所有法改正の解説を書いた『一問一答 改正マンション法』(法務省民事局参事官・吉田徹編著、商事法務発行、2003年)では、「大規模な区分所有建物にあっては、管理に関する事項について決議をすることが必要な場面も少なくないと考えられますが、このような場合に逐一集会の開催を要求すると、開催場所の確保が大きな負担になる場合も考えられ、管理組合としての迅速な対応が困難となり、適正な管理を実施する妨げともなりかねません」という判断を前提として、これまでの方法は、「利用できる場面が限定されていました。

そこで、区分所有建物の管理の充実を図る観点から、簡便な意思決定の方法として、集会の開催を前提としない、書面または電磁的方法による決議を新たに認めるこことしたものである」と説明されています。

上述の『一問一答』)は、これが「集会の決議の重大な例外を認めるものです」と書いてはいますが、立法作業にあたった当人ですから、この決議を推進する立場から、特別決議についても可能なことを解説しています。そのなかで、区分所有者の意見が割れているような議案では、書面による投票をおこなうこと自体に全員の承諾は得られないと説明しています。

しかし、議案に反対だから投票方法の方法にも反対するなどと自覚して反対するケースよりは、「単なる投票方法だから反対するのはおかしい」とか「議案の(書面)投票の時に反対すればいいではないか」といって説得されてしまうのが実際の状況になるだろうと思われます。そもそも投票でよいということを決める決定のさいに議案の内容が詳細に決められたり、伝えられたりしなければならないという保障はどこにもないのです。

なお、法務省民事局参事官室編の解説では、年1回の総会招集義務や事務の報告義務は免れることができないと解説しており、これが正しいと思われますが、反対の見解を述べている書籍(『マンション管理組合総会運営ハンドブック』)もあります。

また、設問にある「規約にまだ入れていない」場合にも、この規定が使えるかについては両論が出され、議論になりましたが、区分所有法にある以上、かりに規約になくても、全員が(書面投票に)一致する場合ですから、当然適法だと考えられます。

 

【3】 国交省作成のマンション標準管理規約のうち、つぎの項目は妥当だと考えますか。それについての報告者の意見とその根拠を説明してください。また妥当でないとすれば、適切な内容とはどういうものですか。
○普通決議の成立要件(=半数以上出席のもとでの過半数賛成)、
○総会の議長(=理事長)、
○役員の資格要件(=区分所有者。「そのマンションに居住する区分所有者」との要件が削除された)。

 

報告者の見解は、普通決議の成立要件=妥当、総会の議長=妥当、役員の資格要件=居住要件をはずしたのはよいが、「同居人」にまで広げるべきだ(理由も詳細に述べられましたが、省略します)。

これは、標準管理規約の批判点というか、議論の多い問題としてとりあげられたものです。

普通決議の成立要件については、かなり議論がありましたが、標準管理規約への賛成意見もありましたが、出席者の多くは、そもそも委任状や議決権行使書の数も入れての話ですから、やはり、区分所有法の原則の規定の総構成員(議決権)の過半数がよいと思うという意見でした。なお、論議が発展して「特別決議」と「半数以上出席で過半数」という成立要件の間が開きすぎており、この中間にもう一つ(議案の内容により、たとえば総員の過半数というように)の要件を設定したらどうかという意見も出され、多くの賛成がありました。

総会の議長についていうと、標準管理規約でもコメントで出席の区分所有者から選ぶ方法もあると書いています。総会は議案を討議すべき機関なのですが、理事長が議長をやると、単なる質疑応答の場となって、討議にはなりにくいとの意見が多数を占めました。結論的には「出席した区分所有者から議長を選ぶ」と単純に決めておけば、必要に応じて理事長や副理事長を選ぶこともそのなかに含まれるからいちばんよい、となりました。

また、これに関連して議長不信任のさいも、議長=理事長の規定があれば交代させられない(実際にはできると思われるが)という話や、そこから発展し、議題にない動議はどこまで採決できるかという点も議論になりました。議長不信任や発言の打ち切りなど議事進行上の提案はできるということですが、詳細は次回・「総会」のさいにさらに扱うことになりました。

役員の資格要件は、報告の方向で拡大する見解に同意する意見が多く出ました。ただ、「同居人」の範囲はもっと厳密に「当該マンションに住む配偶者と一親等以内の親族」が適切だという意見が強かったように見られましたが、「うちは二親等まで」という管理組合もありました。なお、「同居の親族」という場合、「成人」という要件が必要という意見がありましたが、同時に区分所有者自身が未成年者だけというケースもあるので、そこは慎重にという意見もありました。よく議論される、「占有者」は利害が反する面があり、論外という見方がつよいようでした。

 

【4】 現在の規約は、おおむね分譲時に分譲会社が購入者1人1人から承諾書をとり、それで成立している、いわば「押しつけ規約」がほとんどですあまりに不合理な条項であれば、2002年の改正で追加された区分所有法30条3項(=「前2項に規定する規約は、専有部分若しくは共用部分又は建物の敷地若しくは附属施設(………)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の衡平が図られるように定めなければならない」)によって、「衡平」(公平)さを欠き、「公序良俗」に反するものとして排除できますが、現実に適用しようとすれば、規約改正とか、裁判とかの手続きを要します。
本当に区分所有者間の公平性を確保し、事態の改善を将来実現していくためには、原始手続きそのものを、創立総会の開き方、分譲後一定期間後の規約の見直しの義務化などについて、改める必要があると考えられますが、この点について報告者の考えを展開してください。

 

これは問題を設定した側も、「名案があるわけではないが」といいながら提出した問題です。ただ2002年の区分所有法改定の検討をはじめたときの改正案に入っていて、最終的に採用されなかったもので、何とか対策を現実化したいという思いでテーマに入れたものです。

2002年の区分所有法改正の解説を書いた『一問一答 改正マンション法』(法務省民事局参事官・吉田徹編著、商事法務発行、2003年)は、「規約の適正化」の部分で、「Q29 分譲業者が原案を作成し、区分所有権を購入した者がこれに承諾書を差し入れるなどの方法で成立する原始規約の扱いについて、集会の決議で設定された通常の規約と異なる定めを置かなかったのは、なぜですか」という質問を設け、「原始規約は、例えば、マンションの敷地の元地主や分譲業者等、特定の区分所有者の負担を軽減したり、共用部分の使用に特別の利益を与えたりするなど、その内容に著しく衡平を欠くものがあるとの指摘があり、法制審議会建物区分所有法部会でも、その是正を容易にするという観点から、原始規約の効力を暫定的なものにとどめ、分譲後一定期間は規約変更の要件を緩和するなどの措置を講じることの当否について検討が加えられたところです」と答えています。

検討は加えたのですが、残念ながら検討の結論は「否」で、何らかの措置はとられないことになりました。その理由は、「こうした措置を講ずることについては、(1)厳格な要件の下に設定された規約の根本規範性に反するのではないか、(2)例えば、ペットマンションとして宣伝・分譲されたマンションにおいて、ペットの飼育を許すことを定めた規定のように、区分所有者が購入動機を形成する際の重要な要素になった規定まで比較的容易に変更されてしまい、区分所有者の利益を著しく害する場合があるのではないかなどの指摘がありました」としています。

その結果、テーマに書いた第30条第3項の規定を設けるにとどまったわけです。しかし、この見解はおかしく、問題は一般区分所有者間の関係ではありません。原始規約の初期設定で問題なのは、デベロッパー、分譲会社や多数戸を持つ元地主が一般区分所有者と違う特権的地位(駐車場への特別の権利や広告塔など共用部分の無料使用権、管理費などでの格差)などが問題で、その点で公平さを確保するための改善をどのような方法でやるかということです。

問題の性格もあって、ほとんど討論にはなりませんでしたが、最初に報告者のおこなった問題的が解決への課題や方向を示しているように思われます。

報告者の見解は、「ともかく原始規約には問題が多い」、「しかし、区分所有者がそれに気づくのは、購入後ずっと年数がたって、不具合の個所が生じ、大規模修繕が問題になるような時期で10年以上経過しているような時だ」「購入時は、一生の買い物だからと値段や設備、環境などについてはよく検討するが、規約などは重要事項説明があってもあまり頭に入らないものだ」「だから、1年ぐらいの期間を設けて、特別条件で規約の再検討をおこなうといっても、よく分からずに再承認してしまうのではないか」「だから、改善するには、きちんと実効性のあるシステムをつくって、行政が強力な介入をしないとダメだと思う」という趣旨のものでした。

ともかく、分譲会社と購入者とのあいだで、圧倒的な力の差のあるなかで、個別契約で承認した規約を、形だけ重んじて「厳格な要件のもとに設定された」などというのは、実態に反していることは明らかです。区分所有者間の問題をとりだすのでなく、上記のようなデベロッパー、分譲会社や多数戸を持つ元地主が一般区分所有者と範囲の事項に限って是正をすることについて、「一定期間の特例措置」の規定とその周知を図ればいいのです。

そのさいに、行政の側が、業界や業界団体を通じて、強力な規制や指導をしなければ、消費者である購入者・区分所有者の権利は守られないでしょう。一定の是正期間を設けて、その期間に実質的な改善を実現し、不当な規定については、テーマに書いた30条3項で無効にするような措置を考えることでしょう。この点で、必要な法改正をふくめて検討することが求められます。また、ごく一部の自治体で始まっている「マンション管理に関する条例」を設ける動きも、効果は部分的かも知れませんが注目されます。

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