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第2期「訪問相談・派遣専門家育成講座」第5回(大規模修繕工事の準備について)

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2012.11.13

第2期講座の5回目のテーマは「大規模修繕工事の準備」で、11月13日に行なわれました。

本題のテーマの内容と、それにもとづく二人の報告、討論、助言者(西山理事)の発言をまとめて、以下に記します。

【1】 大規模修繕工事の1~2年前、管理会社が勝手に「建物目視調査」を行い、報告書と計画書(見積書を含む)を持参した場合、管理組合は、どのように対応すべきかについて説明して下さい。

「勝手に」持ってきたという想定であったが、報告者は二人とも勝手に持ってきたことについては特に問題にせず、きちんと対応するという姿勢で報告した。これには「勝手にやること自身に問題がある。なぜそのまま受け取るのか」などという指摘があった。しかし、「相手は管理会社であり、せっかく持ってきたわけだから、内容を検討し、内容がよければ、それによって対応すればいいのではないか」という立場で回答があり、実際にもそのようにおこなわれているケースが多いと思われる。

対応の内容としては、調査内容を検討し、妥当であればそれをうけて、修繕委員会の設置など大規模工事の開始となっていく。

【2】 大規模修繕工事を行うのは、理事会だけでは難しいので、「修繕委員会」を立上げますが、立上げ時期、委員会の業務内容やメンバーの選定などにおける留意点について説明してください。

立ち上げ時期は、一人は1~1.5年前、一人は2~3年前、助言者は3~4年前と述べたが、いずれにしても早い目に立ち上げることの必要性が強調された。

修繕委員会があくまでも「諮問機関」で、その構成については、組合員から公募というのは共通しており、任期は準備開始から工事終了まで(あるいは工事の後処理もありさらに1~2年)というところである。問題は修繕委員会に理事が入るかどうかで、討論では両論に分かれた。理事が責任者として入るところ、委員として入るところ、委員ではなくオブザーバーとして入り討議事項のスムーズな伝達のためとするところなど多様である。しかし、いずれにしても両者の意思疎通に欠けることのないようにというのが共通点である。

なお、修繕委員会は諮問機関ではあるが、実際には設計会社(建築事務所)や施工会社との折衝や点検立会などもおこなうこともふくまれている。したがって、修繕委員会には独立の会計や広報は持たないのが正しい。

修繕委員会のメンバーであるが、一般に公募を基本としている。報告者からも助言者からもメンバー構成の多様化が強調された。とくに助言者からは、男女半数ずつがよく、マンションをよく知り、情報の伝達にも役立ち、現場代理人に緊張を与えるなど女性の役割の重要性が特筆された。また、組合員のなかにいる専門家に参加してもらうことが望ましいが、逆にあまり重視しすぎると、独走、暴走、利益誘導などの危険もあるので注意したいことも指摘された。

【3】 大規模修繕工事の実施方針として、「設計監理方式」と「設計施工方式(責任施工方式)」があるが、その内容と長所及び短所について説明し、貴方はどちらを採用しますか。

それぞれの方式のメリット、デメリットは、一般的原則によって説明があった。どちらを採用するかという点では、一人は設計監理方式を、もう一人は「責任施工方式をベースにポイントで専門家のチェックを受ける」のがよいと報告した。後者については、あまり例がないが現実的に可能かなどの指摘も出されたが、多くの議論はなかった。

費用的には設計監理方式は、その分だけ割高になるように思われているが、いちがいにそういうわけではなく、責任施工のばあいにその分の費用が明確でなくなることや、厳格なチェックの励行で、総体的にはどちらが費用がかかるかは断定できない。結論的には、NPO日住協としても設計監理方式を推奨しており、その方がすぐれているということだが、責任施工方式をまったく否定するわけではなく、管理組合にいるスタッフなどの条件によっては、責任施工を採用することはありうる。

【4】 大規模修繕工事の実施方針として、最近の傾向は、「設計監理方式」が多いが、設計事務所の選定方法と選定基準について説明して下さい。

テーマの文書では「最近は設計監理方式が多い」となっているが、本当かという疑問が出された。これにたいし実態としては、数のうえでは管理会社主導の工事が多く、それはほとんど責任施工方式である。7割ぐらいは責任施工ではないかという報告があった。

選定基準では、コンサルタント(設計事務所)の競争入札をやって最低額の会社を選んで失敗した経験も報告された。たてまえとしては、信頼できる業者を選び、プレゼンテーションをやって決定するのが筋で、価格競争ではない。しかし、理事会では競争入札でないと満足されない傾向もあり、難しいのが実情である。助言者からは、本当に信頼でき、施工会社と裏でつながっていないと明言できる事務所は非常に少ないとの指摘もあった。

【5】 大規模修繕工事の進め方として、組合員に知らせる時期・方法及び主催者等についても説明して下さい。

総会での提案から始まるのであるが、助言者からこのときの報告者は理事長が行なうべきで修繕委員長に行なわせるのはダメだとの説明があった。補足説明も設計事務所など第三者がよいとの説明で、修繕委員長が報告してはならないのはなぜかが明確ではないということで議論になった。公募で選ばれ、長期に担当しているので批判が生じることは事実である。

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