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第2期「訪問相談・派遣専門家育成講座」第6回(トラブル解決の考え方と手法)

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2012.11.27

第2期講座の第6回は「トラブル」問題です。マンションの相談ではトラブルについてのものがもっとも多いと思われ、『マンション・トラブル』『マンション・トラブル解決への道』、『マンション・トラブルを防ぐ基礎知識』『マンション紛争の上手な対処法』『マンション・トラブル絶対解決』など多くの書籍が発行されています。それらの書籍の多くはいくつかの実例の解決の仕方と、それに関連する分野のマンション管理の法律や原則の説明がおこなわれています。

トラブルの類型化はなかなかむずかしいものですが、今回の講座では、できるだけ多くのトラブルにひろく対応できるよう、そのための考え方と手法を追求し、個々の問題にも実際的な回答ができるように努力していきたいということを意図しました。

以下、報告・討論テーマごとに、報告・討論と助言者のコメントをまとめて記していきたいと思います。

【1】 マンションにおけるトラブル解決のさいの考え方や姿勢について、どういうものを基本としたらよいかについて、あなたの考えをのべてください。なお、あるマンション管理の入門書(『マンションの理事になったらこの一冊』マンションの管理と自治を研究する会著、自由国民社、2010年)は、「『大岡裁き』こそがトラブル解決の決め手!!」として、最初に「三方一両損」の例を挙げ、この考え方がものを言うといっています。この点も参考にしながら、多くのケースに共通する解決基準を考えてください。

報告者からは、上記のテーマのなかで挙げられている本の「大岡裁き」という考え方こそが解決の基準として優れており、これにつきるといえるほどだ、その上に法、規約をふまえながらも柔軟な解決を心がける、と考えるとの報告がありました。

助言者からは、トラブルの相談に直面したばあいの対応ということで、「考え方や姿勢」「派遣要員としてのあり方とマナー」にかかわって、阿川佐和子の『聞く力 心をひらく35のヒント』を題材に、相手のペースに合わせて「聞く」ことの重要性が強調されました。また、報告者の話にもありましたが、トラブルへの対応のなによりも第一の基準は、区分所有法と当該のマンション管理組合の管理規約、細則その他の規定類だ、ということもあらためて確認しておきたいと思います。

さらに、管理組合では、あらゆるトラブルに必ず対応をするのがよいというわけではないということにも留意することが必要です。どこまでが管理組合の仕事の範囲で、どこからが管理組合が関与すべきでないかは、単純ではありませんが、理事会でも検討して「関与しないあるいはすべきでない問題」と決めたら、管理組合の仕事の範囲をよく説明して、関与できないことを了解してもらう必要があります。

【2】 マンションに関する居住者間の生活トラブルといえば、騒音、ペット、水漏れが、三大トラブルだといわれています。ほかに管理組合がかかわる管理上のトラブルとして、滞納や駐車・駐輪問題があります。最初にあげた三大トラブルについて、管理組合としてどうかかわったらよいか、かかわらない方がよいか、その基準みたいなものについて、いろいろな角度から、あなたの考え方をのべてください。

トラブルについての本や講義は、だいたい裁判例にもとづいて、実例中心に説明するものです。しかし、実際には裁判になるケースは全体のごく一部です。しかもそれは、大きな紛争になっていて、実例としては興味のあるものが多いのですが、よくあるトラブルの代表的なもの、典型的なものというより、特別なものだと思われます。

マンションのトラブルは、同じようでもひとつ一つ違い、その対応の検討は、極端にいえば、全くの各論になります。しかし、トラブルの種類や対応の仕方もできるだけ類型化しておいて、個々の対応が、他の対応にも応用できるようにしておくことが必要です。そのうえで、個々の具体的な解決手法が出てくるのではないかと思われます。そのためマンションにおけるトラブルの全容を概観し、主要なトラブルについての扱い方の方向を考えてみることが必要です。

報告者からは、騒音問題は、深刻化しやすいが、音の問題は主観が入りやすいので、すぐ理事が動くとかえって問題をこじらせることがあるので、注意が必要だとの指摘がありました。

ペット問題では、柔軟な対応が必要で、組合員の意向をアンケートなどでよく調査して対応することの必要性が強調されました。

水漏れでは、階上宅の不注意に起因する場合、理事会は、冷静な第三者として対応することの必要性がのべられました。また、この問題では、保険とくに管理組合としてかけておくべき保険の有効性の問題が参加者から指摘されました。

【3】 あなたがこれまでかかわったマンションにかんするトラブル(上記に出てくる以外の分野でももちろん結構です。自分が直接たずさわったり、見聞したトラブルでも、相談に応じたトラブルでもよいし、それらの適当なものがなかったら、本で読んだものでもかまいません)のうち、「これはうまく解決した」と自ら誇れるもの、あるいは感心したもの1~2例をあげて、できるだけ具体的に説明してください。

報告者からは、『マンションの理事になったらこの1冊』(自由国民社、2010年)の「犬嫌いの人が、独り暮らしの女性で愛犬だけが頼りの高齢者の住戸の隣に転居してきた場合のトラブルに、情理をつくした対応で解決した話、が挙げられました。

なお、報告者からトラブル対処に、話し合いが圧倒的に多いが、ADRの活用がもっと望まれるとの指摘がとくにありました。

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