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第2期「訪問相談・派遣専門家育成講座」第7回(管理会社とどう付き合うか)

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2012.12.11

育成講座も最終月に入り、今回は「管理会社とどう付き合うか」です。この問題では、最近の「アメニティ」紙“論談”(8月)と“硯滴”(9月)にNPO日住協の見解が端的に述べられていますので、使用しました。参照いただけると幸いです。

今回の報告・討論テーマは3件です。

【1】 「管理会社は管理組合のパートナー」という考え方があるが、これに同意するかどうか、報告者の見解を述べ、マンション管理組合と管理会社との関係、管理組合員・理事会と管理人・フロントマンとの日常の関係をスムーズにすすめるために、どのようにしたらよいかを説明されたい。

報告者は、「管理会社と管理組合とはパートナー」について、「パートナー」の意味を両者の関係が対等ととらえる考え方であれば、不同意だと述べました。管理組合が委託者・発注側であり、主導的立場が必要だということです。

しかし、管理会社とは上手につきあうべきで、関係がギクシャクすれば、快適なマンション生活は送れなくなるわけです。管理組合は、管理会社と契約を結んで管理業務委託を受託しており、契約書に忠実な業務が求められているはずです。2003年には標準管理委託契約書も改定され、内容も自動更新条項が削除されるなど改善されてきています。

討論では、管理会社の利益優先、もうけ主義の問題点について、何人かの人から具体的な実情にもとづいてきびしい指摘がありました。業務改善の具体的提案として、現在管理業務主任者は30組合に1人おけばよいというのを10~15組合に1人に改正する必要があるという指摘も出されました。

【2】 管理会社の管理員(フロントマン)の会議参加と議事録作成についての考え方について、いくつかのケースを想定しながら、報告者の見解を述べられたい。また、区分所有者の名簿がについて、プライバシー保護を理由に理事会に見せない管理会社があるというが、どうしたらよいか。ある入門書(『最新版 マンション理事になったらまず読む本』日下部理絵著、実業之日本社、2011年)は、「個人情報はどうやって取り扱う?」という項目で、震災などの緊急事態にそなえて組合員の名簿を作ろうとし、管理会社に頼んだら「個人情報に該当するので提供できません」といわれたという質問にたいし、「管理規約にあれば請求できるが、なければできないので規約を改正する必要がある」との趣旨の説明をしている。この回答はおかしいように思うが、どうか。あなたならどういう回答をするか。

まず、会議への参加の問題について、フロントマンの理事会会議への参加は、多くの管理組合で通常の状態となっています。フロントマンが会議の司会から議事録の作成まですべてやっている管理組合も相当多いと思われる。管理業務委託契約書にも総会、理事会運営の援助や議事録案の作成をおこなうことが取り決められています。ですから、現実的にいえば、会議参加も議事録案作成も当然であり、かまわないということです。

名簿についていうと、そもそも名簿の所有者はだれかということです。本来の持ち主が管理組合であるということについては、だれも否定できないでしょう。そもそも、名簿は、もとを管理会社がつくったとしても、管理業務を遂行するためにのみ必要であって、それ以外の業務には使用できません。管理会社は、その管理組合の業務の委託を受けているかぎり名簿は使用できるし、役立ちますが、委託を辞めたとたん、その名簿は使えなくなります。それは、個人情報保護法により、委託管理以外の他の目的にこの情報(名簿)は使用してはならないことになるからで、委託管理会社交代のさいに名簿は返さなければならないのは、当然です。

【3】 管理会社を代えたい。変更の検討を開始し、区分所有者の承認を得て新管理会社に引き継ぐまでのすべての段取りについて、丁寧に詳しく説明されたい。

ここでは、報告者から前提として、管理会社を変更したからといって必ずしも改善される保証はないので、変更は最後の手段であるということをふまえて、現在の管理会社とも十分交渉して改善を目指すことが必要だという点が強調されました。

そのうえでの段取りとしては、

①    理事会での話し合い(変更の必要性、メリット・デメリット)
②    現行の委託内容の見直し(契約書、仕様書の見直し、変更すべき点。アンケートなども活用)
③    管理業務仕様書の案を作る(見積もりの資料ともなる)
④    総会で話し合う(変更を過半数決議)
⑤    複数の会社から見積もりをとる(仕様書の条件で)
⑥    住民参加の説明会を開く(管理会社のプレゼンテーション)
⑦    新しい管理会社を決める(総会)

というような形になるのが一般的だと思われます。最初の段階でのアンケートのほか、説明会・意見聴取会などもふくめて、区分所有者の意見掌握の機会をできるかぎり多く行ない、全体の意思を確認しながらすすめることが重要であるでしょう。いずれにしても、区分所有者間の合意形成に心をくだく必要があります。そういう意味では、上記の手順は、総会の回数や独自の説明会、意見交換会など、さらにもう少し多くの段階を必要とするかもしれないと思われます。また、現行の管理会社との関係をどう保ちながらすすめるかという複雑な状況のなかで手続きをすすめるわけで、慎重のうえにも慎重な態度がもとめられるでしょう。同時に、これは典型的なケースにあてはまる一般論であって、いろいろのケースがありうることを考えておく必要があります。

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