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管理会社との付き合い方-訪問相談・専門家育成講座第6回

管理会社とどう付き合うで、活発な議論

訪問相談・専門家育成講座の第6回は、11月22日、NPO日住協本部で開かれました。30年余前から、自ら管理会社を経営している日住協専門相談員の久保泰男さんに、「管理会社との付き合い方」について詳細でリアルな報告をいただき、そのあと管理会社と管理組合との関係などについて2時間余、論議しました。

管理会社との付き合い方

久保 泰男・NPO日住協専門相談員

管理会社を見るポイント

管理会社との関係、問題に関しては、次の点がポイントになります。

相談者の管理組合における位置づけが分かること、相談者の相談ポイントと背景がわかること、管理会社の生い立ち、営業戦略、各管理会社のレベルを判断できる観察力をもつ。

自己紹介

昭和53年に、大手管理会社に勤めました、マンション管理業は未整備な時代で、区分所有法を理解する人はいなかったといっていい。入社した会社は、儲け主義が強く、自分の人生観とは違っていましたので、同59年に退職(最終的に企画部長)しました。退職した年に管理会社を設立、今日に至っています。設立の動機は、管理組合にとって有益な会社をつくることです。デベロッパーと業務提携すれば楽に業務受注が可能だ思いましたが、デベロッパー、管理側に立つと、居住者側に立てなくなるというジレンマを抱えることになるので、デベロッパーには一度も営業したことはない。異色の会社といえるでしょう。このような理念の管理会社がひとつくらいあってもいいのでは、と考えました。そうでなければ、日住協と長年の付き合いはなかったでしょぅ。

総論としての管理会社

マンション管理士会のメンバーとも会う機会が多いのですが、管理会社についてほとんど知識を持ちっていないし、ある意味では管理会社と同じようなことをやっているひとも多い。

ケース1

マンション管理士のなかに、管理会社の委託料金を下げさせて、その中から何割かの成功報酬を得るという仕事を商売にしている方がいます。管理業務の実態を無視して、料金の値下げに血道を上げている。

このような仕事は、マンション管理士制度が始まるかなり以前からあった商売です。本来、マンション管理士に期待される仕事ではありません。てっとり早く、稼ぐにはいいが、このレベルの人たちは、本講座でいう専門家には程遠い存在です。料金の前に業務内容があるわけで、業務内容の分析ができないマンション管理士が料金の比較はできないわけです。

ケース2

マンション長期修繕計画の作成、改修工事の仕様書の作成等の業務を受託している管理士もいますが、これも管理士だけの資格でやる仕事ではない。工事の経験や建築士や施工管理技士の資格が必要な分野です。管理会社との関係について相談を受けたときはその管理組合の実情を理解することから始めます。

相談を受ける事例の区分は三つに分けられます。

1、管理会社が一方的に悪い場合

管理能力が稚拙な場合も含む。

2、管理会社と管理組合との間で問題が発生している場合

管理組合の理事が変われば方針も変わるケースが多いのですが、方針が変わることによってそれまで問題でなかったことが、大問題になったりします。

3、管理組合が一方的に過剰な要求をしている場合

自分のマンションの実態を無視して、すべて管理会社の責任と思いこんでいる人が多い。

管理組合と管理会社の上手な付き合い方は、両者のバランスをとってやることです。立脚する基本は、もちろん管理組合です。

例えば、管理会社の委託料金を削減したいという相談の場合、どの程度の業務内容で、管理全体の業務が可能になるかを見極める必要があります。委託料金を安くして管理組合が自力で運営できなければ、管理組合は行き詰まってしまいます。管理会社を一方的に非難するのは、容易ですが、それで問題が解決できないことがあります。管理組合側の問題点、弱点を見極めながら相談に応じてゆく必要があります。

管理会社の実態について

1)管理会社の生い立ち

大まかに5つに分けられます。

  • a、大規模開発に基づいて、その管理のためにつくられた管理会社
  • b、不動産会社・建設会社やデベロッパーの管理部門の関連子会社
  • c、その他の管理会社
    ビル管理会社の中にマンション管理部門をつくる。
    エレベーター保守点検会社、警備会社がマンション管理に進出
  • d、設備会社、清掃会社等からマンション管理業に業容を拡大した管理会社
  • e、マンション管理業務の経験を生かして独立した管理会社

何れの管理会社が居住者のニーズに対応できるかが問題です。上げた順番は、一般的には、居住者側から遠い距離を持っている管理会社といえるでしょう。

2)管理会社の顧客獲得手段

a,b,cの顧客獲得は、説明しなくとも分かるでしょう。dは、自社の特技を生かし、業容を拡大してきた。eは、管理業務の中身で勝負しようと考えている比較的良心的な管理会社が多い。会社の規模は、b,c,dは比較的大規模管理会社(大手管理会社の大半).eは、中小規模です。管理会組合から直接受注を目指しているので業容はよくないのは当然です。

3)管理業務の建物別の特注。これが分かっていないと、相談に応ずることができない。

  1. 郊外の大規模団地型管理の特徴
  2. 建物の戸数規模による管理の特徴
  3. 公団型と民間型の建物と管理の違い
  4. 居住用と投資用の建物と管理の違い
  5. 等価交換型分譲マンションと旧地主との関係
  6. 都心型と郊外型の建物、居住形態と管理の違い
  7. 単棟型、複合型、団地型の建物の違いと管理の違い
  8. 建築年数による違い
  9. 管理形態の違いによる特徴と居住者の不満

住み込み管理は問題が多い。人材確保難、居住者の無理解など。日勤管理形態は、夜間の緊急出動態勢が問題。

4)管理会社の営業戦略

1、大規模修繕工事で利益を上げる方法

最近の傾向は、大量に管理業務を受託して、大規模修繕で利益を上げる戦略です。日常管理業務を安い料金で受託します。人件費が安く、従業員の定着率が低い。大手管理会社は、大半は、この営業戦略をとっている。

管理組合も、委託料金が安く、大手ということから飛びつくが、問題もいろいろ出ています。

色々な改修工事の見積もりを出してきます。

会社によっては、担当者に工事受注のノルマを課しているので、管理業務より工事受注に血道を上げることになります。管理組合は他社の見積りを取るのが面倒ですので、管理会社が独占的に受注してしまいます。

日常管理の受託料金が安いということは、人件費の安い人材を派遣してきます。マンパワーの善し悪しが業務を左右する管理業務で、これは問題です。管理組合は、料金が安ければよいと考える。結局は、モラルの低い人材が勤務されることになります。

2、マンション管理業と不動産業の区別がつかない管理会社

デベロッパー系列では、この手の管理会社が多くみられます。マンション管理の担当者であるはずの担当者が、売買や賃貸の旗振りをしているのです。

3、理念が大事

マンション管理業務は社会問題解決型産業。あるいは管理組合に有益な情報を提供する情報産業、マンパワーの教育・サービス産業、あるいはそれらを織り交ぜた産業になれば、管理組合にとって頼りがいのあるパートナーになると考えます。残念ながら、業界は、正反対の方向を向いて、効率のよい利益獲得に走っています。

  • 管理会社側の問題点の根本にあること
  • 管理会社はなぜ、顧客のために仕事ができないか
  • 利益を上げるためには仕方がないと考える管理会社
  • デベロッパー側についている方が楽に食べてゆけると考える管理会社
  • 不動産業界(デベ、販売会社、建築会社、管理会社)の力関係でなりたつ業界
  • 安ければいいという風潮

これは、管理組合、管理会社双方にある。

5)期待される管理会社のありかた
  • 管理業務を専業として、工事受注に走らない
  • 質のいい管理スタッフをそろえ、情熱と使命感のある社員を育成する

管理組合にとって有益な情報を提供することをモットーとし、工事に関しては設計監理業務に徹し、管理組合に公平な修繕工事と業者選定に協力する。修繕工事については、コンサルタントの役目をはたす。

ポイントとなる人材は、15物件ごとに管理業務主任者1名を配置し、1名の担当数は10物件以内とする。

管理会社によっては、経費節減のため1担当者に大量の物件を担当させています。15物件は少ない方で、20物件以上を担当させる管理会社も多くあります。

改修工事で管理会社が工事受注に走ると公平な情報の提供は望むべくもありません。管理会社によっては、年に1,2回、現場の管理員を含めて社員の貢献度(工事受注額)に対して、表彰式を行っている例もあります。これでは、管理担当フロントマンは、日常管理に熱が入らないのは当たり前です。

最後に 管理会社と上手に付き合う方法はあるか

NPO日住協は、どのような管理会社を望むのか、どのような管理会社であれば住民にって、価値ある会社なのか、真正面から議論し結論を出し、それを積極的に社会に発信することをしてこなかったと思います。管理会社との付き合いは、あるべき管理会社の姿を明確にしておかないと判断基準がありません。その結果、結局は問題別に判断していかざるを得ないのです。

民間分譲マンションの大半が、委託管理の方式を採用している現状においてあるべき管理会社の姿、理念、管理手法等についてNPO日住協としての指針を発信すべき時期にきていると思います。この基本がないと、本当のところ、管理会社とどのように付き合うのか、説明ができないのです。


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