NPO日住協|特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会 > 福管連における管理組合支援の取組み―管理組合への理事長等派遣施策についてー

福管連における管理組合支援の取組み―管理組合への理事長等派遣施策についてー

NPO法人福岡マンション管理組合連合会

1、理事長等派遣開始の理由

平成17年7月に、管理組合への理事長等派遣を開始した。平成12年ごろから派遣してほしいという要望が出ていたが、その後理事会が機能しない等切迫した事情の管理組合が発生したので、派遣に踏み切った。

切迫した事情とは、必ずしも居住者の高齢化ばかりではない。高賃貸化、内部紛争などで、日常業務、大規模改修工事など重要な案件に対処できないなどの状況である。平成23年12月現在、理事長・管理者派遣9組合、監事派遣1組合、顧問派遣(技術顧問も含む)5組合、合計15管理組合に役員等を派遣している。派遣理由は、役員のなり手不足や高齢化ガ4組合、高賃貸化2組合、内部紛争が3組合である。派遣監事は、業務全般のアドバイザー的役割、顧問は大規模改修工事等や管理運営のアドバイザーとしての業務を担当している。

2、管理組合の主体性維持と金銭リスクの回避

国交省の「新たな管理方式検討委員会報告」では、役員のなり手不足の対策として、「管理者管理方式」が提唱されている。この管理者管理方式は、管理者に強大な権限が集中するために、管理組合の主体性が薄れ、金銭管理や契約面においてリスクの発生が懸念される。福管連の理事長等派遣方式は、管理組合の主体性を生かし、金銭リスクを予防するために、特に次の点に配慮している。

1)管理組合の主体性尊重と自立支援

理事長の業務執行は、理事会決議に基づくことを基本として、管理組合の主体性尊重を第一眼目としている。理事長は、理事会に対しては、マンション管理の専門家の立場から、管理組合が今なすべきことや改善すべき点を積極的に提案する。そして、理事会で論議して、結論が出て初めて、業務の執行に移る。理事長は提案はするが、独断的な執行はしない。災害等の危機に直面しないかぎり、理事長はリーダーシップは、発揮しない。そのために業務が遅滞しても民主主義の代償として割り切ることとしている。

理事長の派遣期間は、無期限ではない。管理組合が自立できるようになれば、派遣を終了する。業務の執行についても、総会・理事会の開き方、予算の執行、管理会社の指導など、業務全般にわたって、マンションの憲法である管理規約を遵守することを基本とし、具体的なノウハウは、当会が発行している10種類の業務マニュアルから取り入れている。このようにして、当該管理組合の標準的運営パターンを構築し、跡で誰が理事長になっても務まるように配慮している。

2)金銭事故防止

理事長は、管理組合の金銭の取り扱い及び通帳・印鑑の保管は一切行わない。組合員である副理事長、会計担当理事等が相互けん制の元に分担して保管する。ただし、支出や契約締結の承認は理事長が行う。又、月次決算を行い、業務及び会計の進行を管理する。

3、理事長の業務

派遣理事長の業務は、前項を除き、一般の管理組合の理事長と同じである。具体的には、管理組合と福管連との間で役員派遣契約を締結する。業務は日常業務の範囲とし、例えば

管理規約の全面改正、大規模改修工事の監理、長期修繕計画作成、会計業務等専門的知識を要し、作業量が多い業務は別途契約としている。

4、理事長等派遣の流れ

1)まず管理規約の改正

理事長等派遣を希望する管理組合には、まず管理規約を改正してもらう。多くの管理組合は、役員等の選任要件を「○○マンションに現に居住する組合員のうちから選任する」となっているので、これに「前項の規定に係わらず、マンション管理に関して実務経験及び専門知識を有し、理事会が推薦する者を役員に選任にすることができる」と追加する。

2)役員派遣契約の締結

総会で役員派遣契約の締結の承認と、その予算措置、福管連を役員として選任ずる決議をしてもらう。

3)派遣役員の選出

福管連の役員及びマンション管理士のうち、理事長として経験、知識を有する者を選任する。

4)月例業務報告会

毎月1回、月末に福管連の常勤役員と理事長派遣者が集まり、業務報告会を開いている。報告会では、理事長派遣者が当月に取り組んだ業務内容とその問題点、翌月の業務計画の報告を行い、全員で問題点を討議する。

5)役員派遣料

理事長の派遣料は、マンションの規模や業務内容によるが、管理を管理会社に全面委託している管理組合の場合で、月3万円から6万円程度である。

6)理事長等派遣の終了

派遣した管理組合の課題が解決して、今後順調に業務が進む目処がついた場合は、菅理組合と協議の上で、派遣を終了する。なお、居住者の高齢化対策は、理事長派遣で終わるものではないので、当会では、孤独死、認知症等高齢化に関連して発生する諸問題を含めて、いかに取り組むべきかを検討しているところである。


関連記事