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90%が売却済 諏訪2丁目建替え、順調

平成24年11月10日(土)13:30~16:30、日住協4階会議室において「マンション建替え勉強会」が開催されました。管理組合役員を始め、建替え推進委員会役員、コンサルタント会社社員等の参加をいただきました。

今回の勉強会の内容は、次の通りです。

  1. 諏訪2丁目事例報告(後編)…諏訪2丁目建替え組合理事長 加藤輝雄氏
  2. 建替組合(円滑化法)と行政…東京都都市整備局住宅整備局 住宅政策推進部マンション課長 五嶋智洋氏
  3. 大規模団地の再生…国交省国土技術政策総合研究所 住宅研究部研究室長 長谷川洋氏

諏訪2丁目住宅建替えについては、団地の解体工事が、テレビ、新聞等メディアに報道されました。また、平成23年10月1日(土)には、日住協主催で、江東区亀戸文化センターにおいて、建替え組合理事長 加藤輝雄氏の報告がされましたが、1年を経て、後編ということで引き続き報告をいただきました。

建替えの概要。

建替えを検討してから建替え決議採択まで、20数年を経た。総戸数1249戸の全国一の大規模一括建替えを。平成23年12月に着工し、平成25年10月竣工予定。それまでに建替組合は関係諸団体の協力を得て、インナー整備を進め、同年11月入居予定。分譲684戸のうち90%にあたる617件が売却済。前居住者(権利者)も640戸のうち90%にあたる565名(590戸)が戻ってくる見込み。

≪多摩ニュータウン諏訪2丁目住宅≫

所  在 東京都多摩市諏訪二丁目2番他、4番地
交  通 小田急線「小田急永山駅」徒歩7分・京王線「京王永山駅」徒歩8分
敷地面積  64,399.93㎡

 

<建替え前>

<建替え後>

竣  工

1971年(昭和46年)

1013年10月

総戸数

640戸

1,249戸

構造・規模

地上5階 23棟 RC造

地上11・14階 7棟 RC造

延べ面積

約34,000㎡

約122,000㎡

間取り・専有面積

3DK・48.85㎡

2DK~4LDK・43㎡~98㎡

加藤輝雄氏の報告の要旨は、次の通りです。

建替え工事中の諏訪2丁目住宅

諏訪2丁目住宅は、多摩ニュータウンの公団分譲住宅で築40年を超えた、容積率50%・建蔽率10%、5階建て、エレベーターなし、間取り3DK、専有部分48.85㎡、23棟、640戸の団地であった。
入居後10数年を経過した1984年に管理会社委託から完全自主管理に移行してからは、階段ごと、棟ごと、ブロックごとの集会を持って、管理組合が活動した。
築20年近くなる頃には、子供の成長と共に増築や増床が希望され、長期修繕計画に改築や建替えが検討されたため、管理組合が東京都、多摩市に対して、法的整備、建替え支援を依頼するが、当初は門前払いであった。

1989年、管理組合内に「建替え検討委員会」が発足、1991年の定期総会で「建替え委員会」の設置が決定された。活動も活発化して90%の署名を集めて、建設省に直訴するなど、行政に対して粘り強く陳情を続けた。

しかし、当初は多摩ニュータウンの基本計画ともいえる「新住宅市街地開発法、ニュータウン30万人構想」が継続中であり、大きな法の壁であった「一団地の住宅施設の都市計画決定」を改めることは難しかった。

建替えにの進捗について説明する加藤理事長(左端)

1995年の阪神大震災、2002年の区分所有法改正、建替え円滑法制定、2003年に耐震診断を実施し、2004年に優良建築等整備事業の建替え決議前調査費交付が決定し、「建替え推進決議」が採択、2006年の地区計画策定(容積率が150%に)が追い風になった。交付補助金で具体的且つ現実的な事業計画が策定された「諏訪2丁目住宅建替え基本計画案」は、2007年の臨時総会にて大多数で採決された。

大学教授、マンション管理士、地域NPO等外部の有識者で構成される「事業協力者選定委員会」を立ち上げ、公募の結果、「東京建物」が選定された。

しかし、2008年秋のリーマンショック後の不況の余波を受けて、事業計画の見直しをせざるを得なくなった。計画のスリム化と住民負担の変更という厳しい状況の中、説明会を重ね可能な限り討議した。2009年通常総会で「新しい条件に基づく建替え案」が承認され、同年度内2010年3月臨時総会にて「一括建替え決議」が採択された。

640戸のうち、未賛同者は54戸。理事長名による催告により49戸は建替えに合意し、残り5戸に売渡を請求した。明け渡しを拒んでいた賃借人2名とは裁判になり、高裁まで行ったが、最終的には決着し解体前に退去した。建替え検討委員会発足以来、建替え決議が採択されるまでの20年間は幾多の困難と紆余曲折の過程であった。

法的規制、住民合意形成の難しさ等、多くの困難を乗越えた後も、08年のリーマンショックに振り回されることになった。こうした中でも「自分たちのことは自分たちで解決する」との精神で、当初の計画を縮小し(17階建てを14階建てに変更等)スリムになった新条件でも合意ができ、この一括建替え事業を実現させることができた。

井戸端会議も、合意形成に

このパワーの源は、全員の合意を目標に、切り捨てずあきらめず、全員を巻き込んでとことん討議を重ねてきたこと。階段ごとの井戸端会議、棟、ブロックごとの集会、専門委員会、説明会等での討議を積み重ねた。住民の意思確認のために数々のアンケートも繰り返した。3割程の無関心層へのアプローチは、来訪を呼びかけるのではなく「そっちに行くアプローチ」を徹底し、コミュニケーションを図った。常に全員に対してキャッチボールとアプローチを長い年月をかけて、繰返し続けてきたことが、管理組合の体質を強くしたのだろう。

また、長年の活動を通して、お金に換えられない地域への愛着が深まった。オールドタウンはやむを得ないが、ゴーストタウンにしてはいけない、本建替え事業が、単なる住宅の建替えではなく「街」やコミュニテイの再生、街の活性化、復活事業と捉え、行政と共に「子どもから高齢者まで安心・安全に暮らせる活気と魅力のある街づくり」を担い、多摩ニュータウン全地域の発展に貢献すると共に、社会的意義のあることと推進してきたことも、成し遂げた要因の一つだろう。


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