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全国初の条例化 豊島区のマンション管理推進条例 高野之夫区長に聞く

高野之夫 区長に聞く

 

 

 

 

 

(聞き手・日住協会長 川上湛永)

東京都豊島区は、24年12月21日、マンション管理推進条例を制定した。施行は7月1日からだが、マンション管理組合に管理状況の届け出を義務付け、届けない場合、届け出内容が条例の規定に適合しない場合は、指導、要請・勧告し、マンションの名前を公表するという罰則が定められた。地方自治体が、こうした条例を定めたのは全国でも初めてで、区には全国から問合せなどが寄せられているという。条例の狙いなどについて高野区長に聞いた。

豊島区マンション管理推進条例


罰則付きの条例ということで、注目を集めていますが、なぜここまで踏み込んだのでしょうか。

高野 : 豊島区は日本一の高密度都市で、実は平成16年に、狭小住戸集合住宅税(ワンルルームマンション税)を設けました。ワンルームマンションは、投資目的で、景気のいい時、金利の低いときにつくられ、池袋を抱える豊島区は、地の利がいいとして狙われました。ワンルームマンションは、管理はお任せで、しかもできるだけ管理費を削る、入居者の半分以上は、住民登録もしない。このころから、この町に対する危機感が生まれてきました。

今回、なぜわたしが条例を打ち出したかというと、修繕費もかけない、計画修繕もしない、修繕費積み立てもしないマンションが増えると、マンションはどんどん劣悪化して、建て替えもできなくなる。ほかのひとと縁もない状況、ただ寝に帰るだけという町では、いけないと思いました。30-50年もたてば、スラム化してしまいますね。自分の投資したものを回収できればいいというのでは、住宅はどんどん劣化してゆく。住宅政策の中で、次の時代を考えると、すごく危機感を持ちました。
(ワンルームマンション税は、30㎡未満の住戸1戸につき、50万円をデベロッパーに課税するもので、住宅施策にあてる目的税。23年度は、2億3千万円の税収があった)

増えるのはマンションばかり、区の将来を危ぶんだわけですね。

マンションの管理のレベルを上げるのが目的です、と語る高野豊島区長 = 豊島区役所で

高野 : 豊島区は、いまもどんどん人が増えています。7割はマンション住民です。できるのはマンションばかりです。町内会に入らない、自分たちだけで、ほかとのコミュニケーションがまったくない。そんなことでは、将来建て替えもできなくなる。戦後、すぐできたものはすでに50年、60年たっている。それが建て替えもできないのでは、困る。これから、マンションの人たちが、区の中でどうやってコミュケーションをつくっていくのか、そういう意味で、しっかりしたマンションの管理ができて、また何十年後かにきちんと再生、建て替えられるマンションであってほしい。マンションの価値がどんどん下がってしまったら、住んでいる人は、不安をもちますよ。行政がどういうところでかかわり合いをもっていくか、マンションの方たちに、将来も安心して住んでもらいたいというなかで、マンション管理をしっかりしたものにすることで、まちづくりができるのではないか、と考えました。

 

また、入ってくる方々にも、この地域といい関係をもち、防災問題にも積極的に参加してもらい、地域とのコミュニケーションをつくり、町内会にも入ってもらい、区からの情報もちゃんと届くようにする。区がどういう町づくりをしようとしているのかということに、興味、関心をもってもらわなくては困るわけですね。そんな思いを今回の、マンション管理推進条例に込めました。

条例の狙いが、わかってきました。

高野 : 町内会に入って、地域との縁をつくっていただいて、そうして30年以内に来るという首都直下型地震に備えるマンションの防災態勢をつくることも大事ですよ。そのことに積極的に参加してもらって、防災は町全体でやっていかないといけない。しっかりした管理組合、住民が行政とともに地域のコミュニティをつくってもらいたい。

条例は、防災のことも強く意識していますね。

高野 : 特定沿道建築物のうち、分譲マンションについての耐震改修費用助成を25年度の拡充事業で、助成率をこれまでの2分の1から、6分の5に引き上げました。豊島区に住みたいという人に対する、安心して住める状況をつくることは、我々行政の責任ですから。

ところで、今回の条例で、区の勧告に従わないマンションに対しては、マンションの名前を公表するという罰則を設けました。これがマスコミから注目されました。

高野 : そこがポイントです。マンション名を公表すれば、マンションの価値が下がります。うちのマンションは、管理がきちんとしていない、将来の建替えも準備していないと。
うちのマンション、区から不適格のお墨付きをもらったとなれば、それは価値がさがりますよ。これは、ずいぶん効くんじゃないですか。

でも、乱発はしないのでは。

高野 : 乱発はまずいですね。指導して協力を求めて、それでも従わないときしか、伝家の宝刀は抜きません。最後の最後ですよ。やるのは。良好な住環境をつくる、それがまさに、狙いですからね。

設計図書、修繕履歴の保管を義務付けていますが。修繕履歴を保管することが意外に守られていない。管理会社もそのことにそう積極的にやっていない面もあります。

高野 : 修繕履歴などの保管は、大切ですね。これがきちんと保管されていないと、計画的な修繕ができませんからね。区ではマンション管理士を派遣して、マンションの指導に踏み込んでいます。マンション側の利用率も高いです。25年度から、派遣する専門家のカテゴリーを一級建築士にまで拡充しています。

相談窓口を開設している自治体は多いですが、派遣まではそう多くない。

高野 : 平成22年度から、マンション行政の専門セクションとして、マンション担当課を置いていますが、基礎自治体では、豊島区が初めてですよ。待っている姿勢ではいけない、前へ出ろと指示しました。派遣事業もマンション管理士に、マンションの現場に行っていただく。現状を踏まえて、適切なアドバイスをもらう。この制度の利用率は上がっています。

条例では、地域とのコミュニティ形成の大事さにも触れるなど、コミュニティを重視していますね。

高野 : 隣に誰が住んでいるのかわからないのでは、とくに防災の面で、困る。町内会加盟は、管理組合の努力義務だが、それをやってもらわないとね。孤独死対策でも、コミュニティは大事です。高齢化がますます進む中で、地域で連携をとって孤独死を防がないといけません。

条例では、マンションの代表者等として、管理組合とともに管理会社も代表者と位置づけています。

高野 : 管理組合だけでなく、管理会社の協力が得られないと条例は生かせません。すでに、マンション管理業者団体の「高層住宅管理業協会」に資料を持って説明に伺い、協力を求めました。協力を約していただきました。管理会社の一部からも熱心な問い合わせも来ています。7月1日施行ですが、まずマンションからどれだけきちんと管理状況の届け出が出てくるかが最大の関心事ですね。

区民を含め、条例の周知は。

高野 : 管理組合、管理会社、区民に理解いただくため、3月25日13時半から、豊島区民センター・文化ホールで、マンション管理についてのシンポジウム(テーマは、良好な管理とコミィニティを紡ぐマンションの未来)を開きます。広く理解いただかないと、条例が空洞化してしまいますからね。

新庁舎を建築中ですね。

高野 : 池袋地区に建築中で、3階から9階までは庁舎、11-49階が分譲マンションです。超高層ですね。分譲マンションは430戸つくる。平成27年3月に完成するが、マンションの町として、分譲マンションの管理体制をきちんと作ってゆく。全国のお手本になるものをつくりますよ。

(市街地再開発事業で、125人の地権者の事業。庁舎1-9階に自然採光と換気のために大きな吹き抜け空間をつくる。庁舎屋上の10階には、豊島の森とネーミングする屋上庭園を設け、環境と景観への配慮を強調する。デベロッパーは、東京建物㈱。設計は隈研吾氏)

豊島区マンション管理推進条例

豊島区マンション管理シンポジウムのご案内

2013年3月25日(月)13:30~16:00
入場無料
詳細は右記のPDFよりご確認ください。豊島区マンション管理シンポジウムのご案内

 

 

 


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