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理事長インタビュー 寺尾台住宅管理組合 足立 和雄 理事長

寺尾台住宅管理組合 足立 和雄 理事長

寺尾台住宅管理組合
足立 和雄 理事長(69)

(聞き手・川上湛永 NPO日住協会長)

昨年、ベランダなどのサッシ、玄関扉、雑排水管の更新の大規模修繕工事を終えたそうですね。

足立 : 10数年ぶりで、第3回目の大規模修繕工事でした。前々理事長が思い切って決断されたのですが、よく踏み切ったと思います。この冬は、2回も大雪に見舞われ、厳し寒さが続きましたが、サッシ、玄関扉交換で専有部の断熱性能が上がって、よかったと改めて、前々理事長始め執行部の決断に感謝ですね。

大規模修繕工事を、実際に進めたのは、足立執行部ですよね。

足立 : いや理事の皆さんです。うちは理事の任期は2年ですので、私は、一昨年は副理事長、昨年5月に理事長に就任して、長期修繕計画に参画していますから、まるまる劣化対策に取り組んできました。

理事になられたのは、今回何度目ですか。

大規模修繕で団地のイメージが変わりましたと足立理事長

大規模修繕で団地のイメージが変わりましたと足立理事長

足立 : それが、入居以来、44年で、初めてなんですよ。現役のころは留守が多くて、ご迷惑をかけられないと、お断りしていました。リタイアしたので、受けたのですが、ちょうど大規模修繕だったというわけです。建築関係の仕事に携わってきましたから、めぐりあわせですかね。
工事では、設計事務所と修繕業者の方に、ずいぶんきついことを指摘して、ご迷惑だったかもしれません。契約にあるからといって、やらなくてもいいことをやろうとするから、それはいりません、無駄ですよ、とかなりきつく指示したりしました。経験を生かし、検査をして契約にあってやっていない工事金額を認めませんでした。設計事務所は、工事業者ではなく住民の側に立って仕事をしてください、と。

住民にとっては、助かったじゃないですか、建築専門家の理事長が頑張ってくれて。設計コンサルタント、改修業者任せの管理組合もありますからね。ところで、修繕委員会を立ち上げて、大規模に取り組む管理組合がほとんどですが、こちらではどうでしたか。

足立 : 前々理事長時代に、修繕委員会のメンバーを募ったらしいのですが、だれも応募がなかったようです。それで、理事会だけで取り組みました。

サッシ交換など今回の大規模は、専有部に立ち入る工事ですね。まれに、うちはいいよ、と工事を拒否する住民も出ますが、どうでしたか。

足立 : 独り住まいのお年寄りとか数世帯ありました。後で工事をする場合は、個人負担になりますよ、と説得したりしましたが。でも玄関扉だけは、そういう方も協力していただいて、412戸全戸、玄関扉は交換できました。イメージが違いますからね。

今回の工事で、金融機関から借り入れはしなかったのですか。

足立 : 借金はしません。コンサル料、調査料を含めて、1戸当たり約165万円かかりましたが、修繕積立金で賄いました。積立金は底をつくかと危惧しましたが、予備費の削減努力で、1億円ほど残りました。

最近は、首都直下型大地震が、30年以内に70% の確率で発生するという政府予測があって、大震災での応急対策費用として、1億円は確保したいという管理組合が多いですが。

歩道のカラー化で明るくなった団地

歩道のカラー化で明るくなった団地

足立 : そうですか、何とかギリギリですね。今回、3回目の大規模修繕だったのですが、実は、うちの団地には、長期修繕計画が整っていないのに、気が付きました。25年先を見据えた計画をつくらないといけません。これがないと、これからの理事さんは、いつなにを修繕するのか迷います。現在、作成し5月の総会に向け、準備を急いでいます。日住協さんにも相談しているところです。日住協さんは、いろんな引き出しを持っていて、なんでも相談に乗ってくれますね。管理規約の改正も予定していて、5月の総会にかけますが、この相談もしています。気軽に声をかけられて、役に立つ組織ですね。助かっています。

長期修繕計画がないと、資金計画にも影響しますし、築40年を超え、老朽化すると、長期計画にもない、思わぬ修繕も予測されますしね。
日住協については、万能ではありませんが、管理組合の立場に立って、頑張っていきますので、これからもこき使ってください。

足立 : 25年先までの長期修繕計画を作ると、最終年度には、築70年です。今は、具体的には動いていませんが、築70年の経年マンションで、建替えは現実性がありますか。

マンションの行き着くところは、建て替えか、敷地売却して区分所有関係を解消するか、
朽ち果てるまで修繕して住み続ける―大きくわけて3つの選択肢が考えられますが、建て替えは、バブルのころ、日住協の会員組合の多くで取り組みました。しかし、建築条件が現実に合わないなど合意形成が困難で、ごく一部の団地しか成功していませんね。

足立 : 先日、日住協主催の多摩ニュータウンの諏訪2丁目住宅の建替え見学会に参加させていただき、考えるところが多かったですね。諏訪は成功しましたが、住民の高齢化が進むと、建て替えもむずかしくなりますね。

若い世帯が、移り住んできて、団地が若返ると、建て替えの機運が出てくる可能性がありますが、住民の年齢層の中心が7,80歳代になってくると、よほど好条件がそろわないと、建て替えへのハードルは高くなりますね。
ところで、ここの団地は、丘の上に建っていて、眺めがすばらしいですね。

足立 : 西側と東側が急な斜面に面していて、北側は雑木林です。多摩川や新宿の高層ビルも眺められますね。北側の雑木林は、以前地主さんが、開発業者に売却して戸建住宅を造る計画でしたが、住民が粘り強く反対して、緑地として残りました、川崎市の土地になり、住民が、緑の管理や手入れに協力しています。小田急線の生田、読売ランド、南武線の稲田堤,京王線の京王稲田堤の4駅に徒歩15~25分です。大規模修繕も終え、団地内の環境も一段とよくなりましたし、団地の住戸も手ごろな価格なので、若い世代が移り住んでこられたらと期待しています。

寺尾台住宅管理組合
川崎市多摩区寺尾台2丁目。昭和45年、旧公団分譲、RC5階建て19棟、412戸、全戸53㎡の3DK。団地内の外周道路は、市道。団地中心にも、市の公園がある。昨年の大規模修繕で、団地内の歩道を一部カラー化したり、歩車道部の不具合部を改善するなど、動線の改良を図った。団地内に桜など緑が多く、自然豊かな高台の素晴らしい団地。


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